(出典:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO48712400Z10C19A8000000/)
スーツのシルエットは、ざっくりと分類すると、出自別にブリティッシュ、イタリアン、アメリカンの3種で説明されることが多くあります。
その中でもアメリカンはBOXシルエットと呼ばれる、腰に絞り込みのないスタイルが特長です。(正確にはアメリカでも腰を絞っている時期もあり、必ずしもBOXシルエットとは言えないようですが、多くのテーラーやブランドにおいて、アメリカンといえば、BOXシルエットが基本となっているのが実状です)
アメトラは、1960年代〜1970年代中期に日本でも流行。今でも50代以降に根強い人気があるのですが、数年前まで細身シルエット全盛だった若手世代には、あまりピンとこないようにも思います。
正直、私も避けていたところがあったのですが、batak(バタク)のサックカット(アメリカンシルエット)の着心地の良さに感銘を受け、ブレザーをオーダーしてみたので、ご紹介します!
バタクが取り扱ってるオーダーの全容については、柔らかいスーツ=イタリアの方程式が崩壊!最高の着心地を誇るbatakでのオーダースーツ攻略をご覧ください。
目次
オーダー内容
ざっとまとめると・・・
こんな感じでオーダーしました。
バタクでは、キュプラ素材の裏地、1枚襟等が標準仕様となっていますので、以前絶賛したゼルビーノやファイブワン同様、標準で高級感のある仕上がりになります。
アメトラなのにサイドベンツ?と思われるかもしれませんが、あまりコテコテにしすぎたくなかったので、フックベントは避けました。そして、そもそもサイドベンツは私のオーダーのアイデンティティの1つです(笑)
(出典:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO22214940T11C17A0000000/)
パッチ&フラップは、ブルックスブラザーズのブレザーを見ていた際に気に入っていたので、取り入れています!(ブルックスは私のような小柄なタイプだとサイズがないので、、、)
ちなみに今回も一般的な仕事とプライベートの兼用がテーマ!
クライアントの部長がブレザーとグレーのスラックスを合わせて着ている姿が、非常にカッコよかったので、是非取り入れてみようと(笑)
例のごとく、基本的にはビジネスでも問題ありませんが、銀行などのカタい職場や、営業の方、大事な打ち合わせの際等は避けた方が無難です。
ブレザー自体が仕事で着れなくとも、バタクの仕立ての良さはどうよ?という観点で見ていただければと思います。
テーラーの仕立てのレベルが高ければ、ビジネスで完璧に利用可能な形でオーダーすれば良いだけですので。
おっと、触れ忘れていましたが、気になる価格は、¥66,000!
バタクのオーダーの中心価格を考えると、かなりお手頃な方になりますが、仕上がりのクオリティは満足できました。
仕上がったブレザーのご紹介!
まずは恒例のブランドの証明・・・といきたいのですが、バタクのスーツ共通なのかは分かりませんが、ブランドタグはついていませんでした。
今回選んだのは、日本を代表する生地ブランド、葛利毛織のウール100%の生地です。
いろんな生地ブランドを試してみて思いますが、やはり見た目で気に入ったものが一番。今回も本当にキレイな生地でした。(正直、ここ最近オーダー中では最も妻の評価が高かったです。)
正面から見るとこんな感じです。
やはりサックカット。フロントのダーツを排除し、ゆとりあるシルエットになっています。
ネイビーのツイル生地なので、写真でとるとシワがあるように見えますが、肉眼では全く気にならない上に、変なシワは出ていません。
アメトラといえばということで普段あまりしないレジメンタルのネクタイをしてみましたが、個人的にはしっくり来ず。
やはりこういう方が好きですね。ちなみにこちらは以前ご紹介したパリ出張時にKENJIRO SUZUKIで購入したものです。
インナーだけ替えて、カジュアルで着ることもできます。このセーターはユニクロのエクストラファインメリノタートルネックセーターですが、オススメです。
ユニクロはMB氏の専業と化しているので、私は詳細には紹介しませんが、触り心地も、見た目の良さも問題なく価格も¥3,000程度だったように記憶しています。
さて、横から見るとこんな感じです。
ほとんど絞りをいれていないので、背中のラインはS字にはなりません。これは当然ですね。
少し腕の後方にシワが寄っていますが、目くじらを立てるレベルではないでしょう。
次に後ろから見るとこんな感じです。
オーダーした瞬間よりもぐっと太ってしまったせいか、横ジワが気になるところ。
直してくれるとは言われましたが、まずは痩せることが先決かなと思い、このままに。
さて、もう少し細かいところを見ていきましょう。
襟は前述の通り一枚襟でした。
襟の作りは首の吸い付きに直結する為、アイロンでじっくり人の首の形に合うように曲げる工程が必要です。一枚襟で仕立てている場合は、そのアイロンワーク工程をしっかり行った贅沢な作りで、首(正確には第7頚椎)に吸い付きも良好。
ステッチについては、アメトラらしく少し内側にいれています。
そして袖ボタンは、ブレザーらしく2つボタン且つ金ボタン。しかし、ボタンには戸惑いもありまして。
実は、もともと金ボタンというと、以下のようなものイメージしていました。
(出典:https://www.azabutailor.com/special/blazer/)
一方で、バタクで取り扱っているのは表面に凹凸のないシンプルなもの。ど、どうする自分。
ピカピカしてしまっても安っぽいなと思い、アンティーク調のものを選んだものの、正直、味気なくならないか不安が残りました。
・・・しかし、実際に仕上がったブレザーを見て感想は一転!
おお、上品でカッコいい。間違いなく大人にはこのくらいシンプルな方が良いですね。
オーダー時のポイントとバタクの位置付け
さて、バタクのメイド・トゥ・メジャーのオーダー時のポイントをお話します!
まず、良いスーツとして押さえるべき重要なポイントは①フィッティング、②生地、③仕立ての3つです。
①フィッティングについては、採寸と調整幅に分けられます。
バタクの採寸は丁寧な印象でしたし、フィッターの知識も豊富なため、相談はしやすいでしょう。店舗数も無駄に拡大していないので、全国チェーン系と違い、店舗間のレベル差も小さいかと思います。
調整も細かく聞いてくれると思いますが、バタクのメイド・トゥ・メジャーは大きく型紙を変更することが是とされません。(たとえばラペル幅の変更等)
勿論これはいじれないというより、元の型紙へのこだわりかと思います。
イズムを感じるには極力いじらない方が良いですし、変更幅が少ない方がオーダーする側の意思決定はシンプルで済むという見方もあります。
②生地については、フィッターの方にイメージをお伝えすれば、適切なものを持ってきて頂けます。
バンチブックもあるでしょうが、基本的に反物で見ることができるので、実際に店舗の外に持っていき、外出時のイメージを確認することも可能。仕上がりイメージがしやすいです!
バタクオリジナル生地のバタククロスも魅力的ではあったのですが、今回は葛利毛織の生地が最もピンときたので、そちらで。
型紙はイージーオーダーですので、既に用意された型紙がベースになります。
アメリカントラッドというと、「大量生産」向けに「誰が着てもなんとなく着れる」ことを第一義として「合理的」なイメージがあります。
それ故、オーダーする意味ある?と感じられる場合もありますが、バタクはそうした考えにNoを突きつけています。
アメトラでありながらも飽くまでビスポークの発想を起点に。最初からイージーオーダー水準で型紙を作成するのではなく、飽くまでビスポークを基軸に技術の階段を降りていくことで、型紙を作成しています。
誰にでもなんとなく合わせるゆとりではなく、自分に合った適切なゆとり。見事な着心地の良さを実現しています。
縫製は国内工場で行われ、基本的な縫製はもちろん、型紙の難易度に応えた着心地向上の技術も持ち合わせています。(とはいえ、どうやらテーラー&カッターのメジャーメイドとも同じ工場のようで。百貨店オーダー系工場となると、技術レベルは「屈指」とも言えない理解です。当該工場で請けられる限界まで挑戦しているからなのか・・・。いずれにしても申し分ない着心地です。)
・・・というわけで、バタクのメイド・トゥ・メジャーの特徴をまとめると、
かなと思います。
バタクのメイド・トゥ・メジャーはどんな人向き?
今回はハウスモデルとしてサックカットを選んだので、アメトラ観点で書かせていただきます。
かなと思います。
アメトラ好きでなければ、特に若手の方は1着目をサックカットにするのはちょっと挑戦しすぎかもしれません。この場合、同じバタクでもドレープカットの方がオススメです。
一方、アメトラ好きの方やある程度社会人経験を経た方、ジャケット・スーツを複数着数お持ちの方であれば、挑戦してみても間違いなく後悔しないでしょう。
今後も、実際に私が袖を通した結果や、仕立てた結果、そして店員と話した経験などを、感覚論に終始せず論理と組み合わせて整理していきますので、少しでも興味を持っていただけたら、是非Feedlyの登録やTwitterのフォロー、noteの応援を宜しくお願いします!