スーツと言えばで思い浮かべる国として、イギリスと双璧を為すのが、イタリア。
オーダーを100倍楽しむ!王様の仕立て屋に学ぶ本場のナポリ仕立てでもご紹介したナポリ仕立てに代表される技術の高さは、世界的に有名です。
雑誌で紹介されていたり、百貨店に並んでいたりと、様々な場所で見かけるイタリアブランドですが、如何せん数が多い!!
しかも、とにかく高いことが多いので、手を伸ばしにくいですよね。
「憧れる、けど店には入りにくい」
そんな方のために、私の勇気を出した入店によるチェック(笑)と地道な情報収集で纏めましたので、ブランド・サルト29選、一挙ご紹介します!
目次
北部
北部は貴族お抱えの職人たちがスーツを仕立ててきて歴史を積み重ねてきました。
貴族文化の中で育まれたイタリア北部のスーツは、イギリスの影響を比較的強く受け、構築的なしっかりした作りが特徴です。
また、北部といえばミラノが有名ですが、国際都市のミラノでは世界中のビジネスパーソンが往来します。
商業的に発達し、多くの人がビジネスユースでスーツを着る地で求められたのは、着道楽向けに一人一人に合わせたスーツではなく、大量生産型の既製服だったわけです。
そういった商業的な背景もあって、北部のブランドには既製服やマシンメイドが主軸のものが多くなっています。
では、大量生産型だから、アメリカのように絞りを無くして、誰にでもそれなりに合わせるボックスシルエットのスーツかというと、そんなことはありません。
そこはファッションビジネスが盛んなミラノ。
デザイナーズブランドも多くあり、目の肥えた消費者も多い為、デザインやシルエットにも手は抜けません。
こうして生まれていったブランドを以下にご紹介します。
Ermenegildo Zegna
(出典:https://www.zegna.jp/jp-ja/home.html)
概要
イタリア北部ピエモンテ州トリヴェロで1910年に創業したErmenegildo Zegna (エルメネジルド・ゼニア)
言わずと知れたグローバルブランドで、「オーダースーツを仕立てるときに、生地だけは使ったことある」という方も多いのでは!?
地域ごとに分けた本記事の趣旨をいきなりヘシ折りますが、地域の名を冠したハウスモデルが用意され、どのモデルを選ぶかで特徴が分かれます。
縫製
セミハンドメイド
可動域はハンドメイド、ボタンホールや裾はマシンメイドとなっています。
価格目安
既製品:26.5万~
MTM:60万〜
主な取り扱い店舗
銀座グローバルストア / 丸の内ブティック / 新宿伊勢丹 / 西武池袋 / 日本橋三越 / 日本橋高島屋 / 阪急メンズ東京 / 三井アウトレットパーク木更津 等
詳細
・公式サイト
CANALI
(出典:https://www.canali.com/ en_us/homepage.html)
概要
イタリア北部ロンバルディア州ミラノで1934年に創業したCANALI(カナーリ)
伝統的なテーラリング、ハイクオリティ、Made in Italyを基本理念としています。
アメリカの前大統領バラク・オバマ氏が着用していたことも、その品質と格式高さを表しています。
2009年に日本から撤退したものの、2018年に再上陸!
縫製
マシンメイド
価格目安
既製品:18.9万〜
主な取り扱い店舗
LUXOR ANAインターコンチネンタルホテル店 / バーニーズニューヨーク銀座店 / ユナイテッドアローズ(一部店舗) 等
詳細
・公式サイト
BOGLIOLI
(出典:https://www.bogliolimilano.com/ww_en)
概要
イタリア北部ロンバルディア州ミラノで1890年に創業したBOGLIOLI(ボリオリ)
アンコン仕立てのパイオニアであり、アンコン仕立てによるシャツのような軽さは勿論のこと、構築的な見た目までを両立される技術が特長です。
100年以上の歴史があり、定番の「Kジャケット」を有しつつも、なお新たなモデルを開発し続けています。
縫製
マシンメイド
価格帯もあってか割とざっくりとしたミシン縫いになっています。
価格目安
既製品:13.2万〜
主な取り扱い店舗
ボリオリ東京店 / 新宿伊勢丹 / 銀座三越 / 小田急百貨店新宿店ジェントルマンズ・クローゼット / BEAMS F / guji / B.R.SHOP 等
詳細
・公式サイト
N.H SARTORIA
(出典:https://www.imn.jp/tag/N.H%20SARTORIA)
概要
イタリア北部ロンバルディア州ミラノで2003年に創業したN.H SARTORIA(N.Hサルトリア)
ディレクターのフェデリコ・チェスキ氏と、凄腕カッターのドミニコ・ボンビーノ氏が組んだブランドで、ミラノの中でも都会的なスーツを仕立てています。
イタリア北部ミラノのスーツですが、イタリア南部の伝統的な技術を基に、副資材を多く使わず軽さを出し、それでいて身体にフィットさせる仕立てとなっています。
他のサルトと比べ後ろへ大きく流れるフロントカット等の特徴はありますが、主張の激しいデザインではなく、飽くまでシンプルに。
歳を重ねた一流の男が着るに相応しい一着でしょう。
日本で購入する場合、ライセンス契約で大賀株式会社が製造しているため、イタリア現地生産ではないことに注意!
縫製
マシンメイド
飽くまで日本生産の場合ですが、襟等はハンド工程があるようではあるものの、基本的にマシンメイドと考えた方が良いでしよう。
価格目安
MTM:130,000~ (新宿伊勢丹のオーダー価格を参考)
主な取り扱い店舗
新宿伊勢丹店 / 日本橋三越店 / 銀座三越店 / 岩田屋本店 等
詳細
・公式サイト
CORNELIANI
(出典:http://cornelianijp.jp/)
概要
イタリア北部ロンバルディア州マントヴァで1958年に創業したCORNELIANI(コルネリアーニ)
数多のメゾンスーツ生産を担ってきた実績は名高く、自社名で展開するスーツとしても定評があります。
スーツの特徴としては、北部らしく見た目は英国的で、着心地は包み込むように柔らかです。
ちなみにメイド・トゥ・メジャーで購入する場合、ライセンス契約で大賀株式会社が製造しているので、ファクトリーブランドとしての本体の実力は体感できないことに注意!
縫製
マシンメイド
マシンメイドとはいえ、同じイタリア北部ブランドで比較しても価格帯が高い分、ボリオリよりも丁寧な縫製となっています。
価格目安
既製品:26万~
MTM:32.4万~
主な取り扱い店舗
直営店(丸の内) / 伊勢丹新宿店 / 日本橋三越店 / 銀座三越店 / 東急渋谷本店 / 大丸梅田店 / 大丸心斎橋店 / 福屋広島駅前店 / 岩田屋本店
詳細
・公式サイト
LUIGI BIANCHI MANTOVA
(出典:https://www.lubiam.it/ja)
概要
イタリア北部ロンバルディア州マントヴァで2006にスタートしたLUIGI BIANCHI MANTOVA(ルイジ・ビアンキ・マントヴァ)。
ブランドを持つLubiam社は1911年創業の老舗ファクトリーで、創業以来、マントヴァの自社工場での生産を貫いています。
LUIGI BIANCHI MANTOVA自体は2018年に日本初上陸を果たしたブランドで、クラシックな本格仕立てを基本としています。
縫製
マシンメイド
襟は二枚襟で仕立てられています。
価格目安
既製品:14.1万~
MTM:不明(2018年に阪急メンズ大阪で実施実績あり)
主な取り扱い店舗
バーニーズニューヨーク / 阪急メンズ大阪
詳細
・公式サイト
Belvest
(出典:https://www.belvest.com/it/en)
概要
イタリア北部ヴェネト州パドヴァで1964年に創業したBelvest(ベルヴェスト)
クラシコ・イタリア協会に属するファクトリーブランドで、マシンメイドの最高峰とも称されるブランドです。
代表的なハウスモデルである「645」は総毛芯で仕立てられており、イタリア南部のブランドとはまた違ったしっかりとした作りになっています。
一方で着心地は軽く、肩や腕周りのフィット感が特長です。
縫製
マシンメイド
マシンメイドで、襟も二枚襟で仕立てられていますが、縫製のレベルは他ブランドのマシンメイドを遥かに凌ぎます。
価格目安
既製品:26.6万~
MTM:29.9万~(新宿伊勢丹のMTM価格を参考)
主な取り扱い店舗
新宿伊勢丹 / 銀座三越 / 日本橋高島屋 / 西武百貨店池袋店 / 西武百貨店渋谷店 / イセタン サローネ メンズ / バーニーズニューヨーク銀座店・新宿店・六本木店 / BEAMS F / BEAMS HOUSE MARUNOUCHI / エストネーション六本木店 / トゥモローランド銀座店・渋谷店 / EDIFICE丸の内店 / SHIPS銀座店・丸の内店 / ユナイテッドアローズ / ストラスブルゴ / guji東京 等
詳細
・公式サイト
中部
地理的にもスーツの特徴的にも北部と南部の中間といったところで、特にフィレンツェの仕立てはイタリアで最も華やかで優雅とも言われます。
そんな中部イタリアのブランドを以下にご紹介します。
CARUSO
(出典:https://www.mens-ex.jp/fashion/feature/181130_9659_2.html)
概要
イタリア中部エミリア・ロマーニャ州パルマで1958年に創業したCARUSO(カルーゾ)
イタリアとしてはややブリテッシュのテイストが強いと言われつつも、創業者のラファエロ・カルーゾ氏が、元々ナポリでサルトを営んでいた人物の為か、控えめではあるもののジャケットの袖がマニカカミーチャになっている等、ナポリらしさも感じられます。
上質な生地へこだわりが強く、ゼニアやロロピアーナ等の高級生地ブランドを指名し、利用することでも有名です。
イタリア北部のブランドと同じく、ラグジュアリーブランドのOEMを請けてきた実績があり、その信頼性が伺えます。
縫製
セミハンドメイド
マシンメイドを主軸としつつ、締めの部分はハンドメイドで仕立てているようです。
価格目安
既製品:15万〜
主な取り扱い店舗
BEAMS F / SHIPS(一部店舗) / ユナイテッド・アローズ(一部店舗) / トゥモローランド(一部店舗)
詳細
・公式サイト
GIANFRANCO BOMMEZZADRI
(出典:http://www.chalkstream.co.jp/)
概要
イタリア中部エミリア・ロマーニャ州パルマで創業したブランドです。
マシンメイドながら、過去にはジルサンダーやラム(hLam)等の高級ブランドのOEMを請け負っていたファクトリーにて、総毛芯で仕立てられています。
縫製
マシンメイド
価格目安
既製品:16万〜
主な取り扱い店舗
新宿伊勢丹 / guji / エストネーション
詳細
・公式サイト
PAIDEIA
(出典:https://www.imn.jp/brand/paideia)
概要
イタリア中部エミリア・ロマーニャ州パルマで創業したGIANFRANCO BOMMEZZADRI(ジャンフランコ ボメザドリ)社が擁するernesto(エルネスト)のチームが企画した新レーベルです。
こちらも本格的なフル毛芯仕立てにこだわっており、さらにヴィンテージ素材をイメージしたコレクションになっています。
縫製
ハンドメイド
フラワーホール含め、手縫いを多用して仕立てられているようです。
価格目安
既製品:17.7万〜
主な取り扱い店舗
BEAMS F / guji / La Gazetta 1987
LIVERANO & LIVERANO
(出典:https://store.united-arrows.co.jp/shop/ua/news/ 2018/03/liverano-liverano-17.html)
概要
イタリア中部トスカーナ州フィレンツェで1948年に創業した世界トップクラスのテーラーブランドのリヴェラーノ&リヴェラーノ
ラペルの角を丸める等、全体的に丸みのあるデザインが特徴です。
その他にもフロントダーツを無くことで、ウエストは自然に絞られ、ゴージラインは低めに設定されています。
縫製
ハンドメイド
価格目安
既製品:40万〜
フルオーダー:78万~(ユナイテッドアローズでのトランクショー参考)
主な取り扱い店舗
新宿伊勢丹 / ソブリンハウス ユナイテッドアローズ / FOGGY&SUNNY / ELEGANZA SOBRIETA
詳細
・公式サイト
Cantarelli
(出典:http://www.ubertocantarelli.com/ pagine/shop)
概要
イタリア中部トスカーナ州アレッツォで1976年に創業したCantarelli(カンタレリ)
他ブランドと同じくこちらも著名ブランドのOEM生産を請け負ってきた実績があります。
構築的なシルエットでありながら、妥協の無い構造で着心地のよさを実現しています。
縫製
マシンメイド
マシンメイドではあるものの、ハンドメイドに匹敵するクオリティとされます。
価格目安
既製品:10万〜
主な取り扱い店舗
guji / ring / B.R.SHOP
詳細
・公式サイト
LARDINI
(出典:https://www.mens-ex.jp/column/hirapsody/180430_27.html)
概要
イタリア中部マルケ州アンコーナで創業したLARDINI(ラルディーニ)
象徴でもあるブートニエールにより、見た瞬間にラルディーニと分かるブランド力を持ち、もはや日本では、「イタリアのファクトリーブランドといえば」という地位を築いています。
一方で、縫製はざっくりとしており、襟も二枚襟である等、大量生産に伴い、仕立てのこだわりは弱くなっているようにも見えます。
縫製
マシンメイド
価格目安
既製品:12万〜
主な取り扱い店舗
丸の内直営店 / 阪急メンズ東京 / 新宿伊勢丹 / 小田急新宿店 / BEAMS F /ストラスブルゴ / guji / バーニーズニューヨーク / La Gazetta 1987
詳細
・公式サイト
・完全イタリアメイド!ブートニエールが特徴のラルディーニのスーツ攻略
Brioni
(出典:https://www.brioni.com/jp)
概要
イタリア中部ラツィオ州ローマで1945年に創業したBrioni(ブリオーニ)
キートンやイザイア、チェザレアットリーニ等と並び、世界最高峰とされるブランドです。
ブリオーニのスーツは、キートン等と比べると貫禄があることが特徴で、上質な生地を用いて、高いハンドメイドの技術によって仕立て上げられています。
特徴である「貫禄」の通り、アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏や、大人気アメリカドラマSUITで、ルイス・リットが着用しており、ブランド力に負けない権力者にこそ相応しいスーツです。
縫製
ハンドメイド
価格目安
既製品:54.1万〜
Bespoke:60.5万~
主な取り扱い店舗
銀座店 / 新宿伊勢丹 / 日本橋三越 / 日本橋高島屋 / 阪急メンズ東京 / 阪急メンズ大阪 / 名古屋松坂屋 / 福岡岩田屋 / トゥモローランド(一部店舗)
詳細
・公式サイト
南部
イタリアの仕立てといえば、イタリア南部ナポリを思い浮かべる方も少なくないでしょう。
柔らかく、軽く、着心地良く、それでいてマニカカミーチャ等でシワも楽しむ。
バクっとまとめると、こんな感じですが、実際に各サルトやブランドを並べると当然違いはあるもの。
何よりナポリのサルトは子弟や親子で繋がっていることも多いんです。
雑誌やWebサイト等、様々なところで別個に関係性が挙げられており、全体像が見えづらかったので、最低限レベルでまとめました!
これを知ってるから何だという感じではありますが、各サルトリア/ブランドの特徴やその背景を押さえる上では、多少理解の助けになります。
さて、そんなわけでイタリア南部のサルトリア/ブランドたちをご紹介していきます。
RUBINACCI
(出典:http://www.marianorubinacci.net/)
概要
イタリア南部カンパーニア州ナポリで1931年に創業したサルトリア「ロンドンハウス」を起源とするRUBINACCI(ルビナッチ)
ジェンナーロ・ルビナッチ氏が、ナポリ仕立ての開祖とも称される伝説のカッター、ヴィンチェンツォ・アットリーニ氏を起用し、立ち上がったロンドンハウスが、世界に打って出るにあたり、現在のルビナッチに改名されました。
ナポリのブランドでありながらロンドンハウスの旧称の通り、重厚感があり、直線的かつ構築的でブリティッシュの影響を受けた仕立てになっています。
もちろん、ナポリらしい特徴もあり、フロントダーツは前身頃の下までとって立体感を出し、さりげなく袖はマニカカミーチャになっています。
日本での生産は、ライセンス契約でオンワードが請け負っているので、たとえば伊勢丹のメイド・トゥ・メジャーでオーダーしてもイタリア生産ではないことに注意しましょう。
縫製
ハンドメイド
価格目安
MTM:12.9万~(伊勢丹でのオーダー価格を参考)
MTM(仮縫い付):31.9万~(伊勢丹でのオーダー価格を参考)
主な取り扱い店舗
新宿伊勢丹
詳細
・公式サイト
Cesare Attolini
(出典:http://cesareattolini.com/)
概要
イタリア南部カンパーニア州ナポリで1930年代に創業したCesare Attolini
父親が携わっていたロンドンハウス(現ルビナッチ)の創業が1932年で、息子のチェザレ氏が立ち上げに参画したというキートン・イザイアの創業がそれぞれ1956・1957年なので、チェザレ・アットリーニの創業が1930年と言われても、ちょっと時系列がよくわかりません。
とはいえ、キートンと双璧をなすナポリブランドで「針と糸と指貫と鋏さえあれば良い」をポリシーにした普遍的なカッティングが魅力です。
ルビナッチ同様、構築的なシルエットかつマニカカミーチャ等のナポリらしさも忘れない仕立てとなっています。
前身頃がコンパクトになっており、胸板が厚く見えるため、貫禄を出したいエグゼクティブ層向きです。
縫製
ハンドメイド
価格目安
既製品:50万〜
MTM:60万~
主な取り扱い店舗
直営店 / 新宿伊勢丹 / バーニーズニューヨーク / トゥモローランド
※トゥモローランドでは直営店よりハーフサイズだけタイトなモデルが展開
詳細
・公式サイト
STILE LATINO
(出典:https://www.imn.jp/post/108057196601)
概要
イタリア南部カンパーニア州ナポリで2004年に創業したSTILE LATINO(スティレ・ラティーノ)
チェザレ・アットリーニ氏の息子であるヴィンチェンツォ・アットリーニ氏が率いるブランドでナポリの職人による縫製で仕立てられています。
伝統的なテーラリングでありながら、上質な素材にウォッシュ加工をかけ、他社との差別化を図ったり、新デザインの開発を続けたりと前衛的なブランドでもあります。
縫製
マシンメイド
価格目安
既製品:28万〜
MTM(ring):30万~
MTM(BEAMS):31万~
主な取り扱い店舗
新宿伊勢丹 / BEAMS F / BAMS六本木ヒルズ / guji / ストラスブルゴ / ring / B.R.Shop / La Gazetta 1987
詳細
・公式サイト
Sartoria Ciardi
(出典:https://www.sartoriaciardi.com/)
概要
イタリア南部カンパーニア州ナポリで創業したSartoria Ciardi(サルトリア チャルディ)
ナポリ仕立ての開祖の一人に数えられるアンジェロ・ブラージ氏に支持したレナート・チャルディ氏が創業したサルトリアブランドです。
同サルトリアは、アントニオ・パニコと並び最高峰と評され、現在も尊敬されています。
全体的にベーシックな作りであるものの、肩幅はコンパクトな作りになっています。
縫製
ハンドメイド
価格目安
既製品:46万~
MTM:61万円~(日本橋三越のMTM価格を参考)
主な取り扱い店舗
新宿伊勢丹 / 日本橋三越本店
詳細
・公式サイト
ANTONIO PANICO
(出典:http://www.sartoriapanico.it/ antoniopanico.php)
概要
ヴィンチェンツォ・アットリーニの後継として、1970〜1992年の間ロンドンハウス(現ルビナッチ)でマスターカッターを担っていたアントニオ・パニコ氏。
同氏がイタリア南部カンパーニア州ナポリで自身の名を冠して1992年に創業したサルトリアのANTONIO PANICO(アントニオ・パニコ)です。
数あるナポリのサルトの中でも最高峰、まさに別次元とされるアントニオ・パニコ氏は、工房にミシンを置かず、ナポリらしく型紙も引かず、まさに神業ともいえる技術で仕立てていきます。
一方、元いたロンドンハウス同様、ブリティッシュの影響は受けており、肩幅を広めにとる設計となっており、過剰なナポリ仕立てではなく、飽くまでエレガント。
縫製
ハンドメイド
価格目安
既製品:55万~
MTM(アンニ・セッサンタ):55万~
MTM(伊勢丹):90万~
主な取り扱い店舗
新宿伊勢丹 / アンニ・セッサンタ / ESSECI
詳細
・公式サイト
Kiton
(出典:https://www.kiton.it/en/company)
概要
イタリア南部カンパーニア州ナポリで1969年に創業したKiton(キートン)
言わずと知れた世界最高峰のハンドメイドスーツブランドで、「KB」モデルはブランドの象徴です。
ゴージラインとボタン位置が低めのクラシックなデザインであり、またセンツァ・インテルノと呼ばれる芯地や肩パッドを用いずとも美しいシルエットを生み出すナポリの技術を駆使して、柔らかな雰囲気と軽い着心地を実現しています。
一方で、飽くまでグローバルに通用するブランドとして砕けすぎないデザインになるよう、マニカカミーチャはかなりさりげなくする等の工夫が見られます。
縫製
ハンドメイド
価格目安
既製品:78万〜
MTM:61.7万~
主な取り扱い店舗
銀座店 / 六本木ヒルズ店 / ヒルトンプラザ店 / 伊勢丹新宿店 / 日本橋高島屋店 / ストラスブルゴ南青山店・東京ミッドタウン店 等
詳細
・公式サイト
ORAZIO LUCIANO
(出典:https://strasburgo.co.jp/journal/ focus/orazio-luciano.php)
概要
イタリア南部カンパーニア州ナポリで1998年に創業したブランドのORAZIO LUCIANO(オラッツィオ・ルチアーノ)
創業者のオラッツィオ・ルチアーノ氏は、キートンのマスターテーラーを務めた人物でもあり、その技術は折り紙付き。
本格仕立てながら芯地を無くしたセンツァインテルノや、マニカカミーチャといった伝統的なナポリ仕立てを守っており、その軽く、柔らかな着心地で人気を集めています。
縫製
ハンドメイド
価格目安
既製品:36万~
MTM:39万~(新宿伊勢丹MTMの価格を参考)
主な取り扱い店舗
新宿伊勢丹 / ストラスブルゴ
詳細
・公式サイト
ISAIA
(出典:https://www.isaia.it/)
概要
イタリア南部カンパーニア州ナポリで1957年に創業したISAIA(イザイア)
キートンやブリオーニ、チェザレ・アットリーニ等と並ぶ世界最高峰のブランドです。
フラワーホールについたコーラルレッドと呼ばれるシンボルが特徴。
モデルとしては「GREGORY(グレゴリー)」が代表的で、ナポリのブランドながらアンコン仕立てではなく構築的。しっかりと毛芯を据えて仕立てられています。
他の最高峰イタリアブランド同様、しっかりした作りであっても着心地の軽さは両立されています。
使用されている生地については、イザイア専用で用意している場合も多く、且つどこの生地ブランドかも公開されていませんが、上質なものが使われているのは間違いありません。
縫製
マシンメイド
襟付け等はハンドメイドで、一枚襟にもなっていますが、基本的にはマシンメイドで仕立てられています。
価格目安
既製品:38万〜
MTM(伊勢丹):33万~
MTM(バーニーズニューヨーク):34万~
主な取り扱い店舗
東京ミッドタウン店 / 伊勢丹新宿店 / 高島屋日本橋サロンルシックセレクト / 銀座和光 / バーニーズニューヨーク銀座・六本木店 / エストネーション六本木ヒルズ店
詳細
・公式サイト
PRINCIPE D’ ELEGANZA
(出典:http://principedeleganza.it/)
概要
イタリア南部カンパーニア州ナポリで2009年に創業したPRINCIPE D’ ELEGANZA(プリンチペ・ディ・エレガンザ)
KitonやCesare Attoliniで研鑽を重ねたアントネッラ・デラ・ローザ氏が、ルイジ・ボレッリの元ジェネラル・マネージャーであるエンリコ・マンゾ氏と立ち上げた新興ブランドです。
見事に首に沿った殺し襟や、手がかりのボタン、ラペルのフチを攻めるハンドステッチや美しいマニカカミーチャ等、高いナポリの技術を発揮しています。
縫製
ハンドメイド
価格目安
既製品:29万~
MTM:28万~(ZerbinoのNapoli line価格を参考)
主な取り扱い店舗
Zerbino / Sharon
詳細
・公式サイト
・圧倒的技術で着心地抜群!仕様と価格から見たゼルビーノのオーダースーツ考察
DALCUORE
(出典:http://www.sartoriadalcuore.com/)
概要
イタリア南部カンパーニア州ナポリで1976年に創業したDALCUORE(ダルクオーレ)
位置が高く、小さめのアームホールでありながら、他のナポリのブランドと比べてもしっかりとギャザーが入ったマニカカミーチャで仕立てており、ナポリらしい最高の着心地を実現しています。
このマニカカミーチャはもちろん、ステッチもハンドメイドで、デザインとしても段返り3つボタンや高いゴージライン等、オーダーを100倍楽しむ!王様の仕立て屋に学ぶ本場のナポリ仕立てでもご紹介したナポリ仕立てを体感できるでしょう。
縫製
ハンドメイド
価格目安
既製品:30万〜
Bespoke:50万~(ビームスハウス丸の内の価格を参考)
主な取り扱い店舗
新宿伊勢丹 / ビームスハウス丸の内 / ring
詳細
・公式サイト
Luca Grassia
(出典:http://www.estnation.co.jp/news/ 201708/lucagrassia.html)
概要
イタリア南部カンパーニア州ナポリで創業したサルトリアブランドのLuca Grassia(ルカ グラシア)
半世紀以上の3代に渡りサルトリアとしてナポリに君臨の3代目にあたるルカ・グラシア氏のブランドで、同氏は2015年ナポリの仕立てコンクールにおいて若手部門で金賞を獲得する等、技術の高さは当然折り紙付き。
サルトリアは、ナポリ最恐のカモッラ(ナポリの反社会組織のこと。ちなみにマフィアというのは本来シチリアの反社会組織を指します。)の本拠地の近くにあり、そこで育ったルカ氏の仕立てるスーツには男性らしさが光ります。
既製品であってもハンドメイドがほとんどであることをルカ氏本人も語っており、サルトリアとしての仕立てへの思い入れの強さが伺えます。
縫製
ハンドメイド
価格目安
既製品:30万~
MTM(エストネーション):29万~
MTM(伊勢丹):43万~
主な取り扱い店舗
新宿伊勢丹 / ring / エストネーション
詳細
・公式インスタグラム
Alfonso Sirica
(出典:https://www.facebook.com/ alfonsosiricasartoria)
概要
イタリア南部カンパーニア州ナポリで創業したサルトリアブランドのAlfonso Sirica(アルフォンソ シリカ)
イタリアのテーラー学校を主席で卒業したアルフォンソ・シリカ氏のブランドだけあって、イタリアのスーツ界を牽引する存在です。
薄い毛芯やマニカカミーチャ、ハンドメイド特有の甘めの縫製等、ナポリの技術により、軽く、着心地も良い仕立てとなっています。
縫製
ハンドメイド
価格目安
既製品:28万~
MTM(ユナイテッド・アローズ):32万~
MTM(伊勢丹):35万~
主な取り扱い店舗
Sharon / ring / B.R.Shop
詳細
・公式サイト
De Petrillo
(出典:https://depetrillo.it/)
概要
イタリア南部カンパーニア州ナポリで2006年に創業した新興ブランドのDe Petrillo(デ ペトリロ)
ナポリの老舗サルト、アントニオ・ピニョッラで職人だったベネデット・デ・ペトリロ氏は、丸縫いもこなす技術を持ち、その技術を既製服に投影させています。
デザインは軽く柔らかな伝統的なナポリ仕立てをベースにしつつも、クラシックというより、モダンな印象です。
たとえば、袖付けや肩回りは誇張なく、着手の身体が分かるくらいコンパクトになっている等、細身であり、ゴージラインも高く設定されています。
今回ご紹介しているブランドの中では、価格帯が比較的お手頃なこともあり、最近ではMen’s EXやBR Channel等メディアへの露出も非常に多いです。
縫製
マシンメイド
価格目安
既製品:15.6万~
主な取り扱い店舗
新宿伊勢丹 / 新宿高島屋サロンルシックセレクト / 日本橋高島屋サロンルシックセレクト / BEAMS HOUSE 丸の内 / BEAMS F / ストラスブルゴ / guji
詳細
・公式サイト
CIRCOLO 1901
(出典:https://circolo1901.it/en/)
概要
イタリア南部プーリア州バーリのブランドで2009年に本格始動したCIRCOLO 1901(チルコロ 1901)
1901というのはチルコロのブランドを保有するテキスタイルメーカーS.G.L.社が1901年創業であることに由来しています。
同社のジェラルド・ダルジェーニオ氏が、2009年に面白半分でジャージ素材のジャケットを発表したことで話題を集め、今ではチルコロを代表するアイテムに。
イタリアのファッション業界の人間からも定評のあるブランドの地位を築き上げています。
縫製
マシンメイド
チルコロ1901のようにスウェット素材を用いた衣類は本来、ロックミシン等を使って縫製するところ、ハンドステッチのような仕様にする等のこだわりが見られます。
価格目安
既製品:15.6万~
主な取り扱い店舗
BEAMS / バーニーズニューヨーク / EDIFICE
詳細
・公式サイト
TAGLIATORE
(出典:http://www.tagliatore.com/en/man/)
概要
イタリア南部プーリア州マルティナフランカで1998年に創業したTAGLIATORE(タリアトーレ)
デザイナーであるピーノ・レラリオ氏の感性ががっつり反映されたブランドなので、そこが合うかもポイントになります。
たとえば生地もトレンドを反映しており、シルエットについてもウエストをかなり絞り込んだものとなっています。
こういったデザインだけでなく、型紙や縫製についてもピーノ・レラリオ氏が監修しており、自社工場で一貫管理しているため、クオリティも担保されています。
縫製
マシンメイド
価格目安
既製品:14.5万~
主な取り扱い店舗
新宿伊勢丹 / イセタンサローネ メンズ / 高島屋サロンルシックセレクト / 小田急百貨店新宿店ジェントルマンズ・クローゼット / バーニーズニューヨーク / ストラスブルゴ
詳細
・公式サイト
以上、至高のイタリアブランドおよび最高峰サルトでした!
正直、まだご紹介できていないものもいくつかはあるのですが、知名度や情報量の関係のありまして、一旦ここまでです。
また時期を見て追加していきたいと思います!その他、実際に私が袖を通した結果や、仕立てた結果、そして店員と話した経験などを、感覚論に終始せず論理と組み合わせて整理していますので、少しでも興味を持っていただけたら、是非Feedlyの登録やTwitterのフォロー、noteの応援を宜しくお願いします!