キングスマンに学ぶ英国流のスーツの着こなし!ビジネスシーンへの適正は?


(出典:Kingsman: The Secret Service(2014) (c)20th Century Fox)
以前に海外ドラマSUITSのハーヴィー・スペクターや、007のジェームズ・ボンドのスーツの着こなしをご紹介しましたが、今度はキングスマンです!

キングスマンといえばロンドンのビスポークテーラーで仕立てたスーツを着用しているという設定ですが、そこまでお金をかけるのも難しいですよね。もう少しお手頃に真似をしたい!

でもちょっと待ってください。こうした映画やドラマのスーツは、カッコよく映りますが、映画用のため、そのまま真似のしづらい、ある種灰汁の強さがあります。

そのため、今回は、キングスマンの英国紳士のスタイルで押さえるべきポイントを整理した上で、コスプレを防ぎ、ビジネスシーンで応用するためのポイントをご紹介します!

ここを外したら終わり、の大前提

キングスマンスタイルでスーツを着る上で、というかスーツをカッコよく着る上で本質的に重要な点ですが、「身体に合ったサイズ」のスーツを着用してください。

ここを押さえずして形だけキングスマンの真似をしても、端から見るとめちゃくちゃカッコ悪いスタイルになりかねません。

【参考】あなたはなぜ残念なスーツを購入してしまうのか?一流を作るスーツとは
【参考】ぶっちゃけスーツより重要?ワイシャツの効果と購入法攻略

キングスマンのスーツについて押さえるべきポイント


(出典:Kingsman: The Secret Service(2014) (c)20th Century Fox)
さて、主人公の1人で、スパイ機関「キングスマン」に所属するスパイのコードネーム「ガラハッド」、本名ハリー・ハートのスーツの着こなしをメインに紹介していきます。

個人的にハリーを演じているコリン・ファースが好きだということもありますが、そもそもざっくり纏めるともう一人の主人公エグジーも同じような服装なので、ハリーの方にしました!

キングスマンのスーツの基本仕様として押さえるべくは、以下9点です。

  1. ダブルブレステッド
  2. 色柄はネイビーorグレーのストライプ
  3. フロントボタンは、6つボタンの2つ掛け
  4. ポケットは通常の水平ポケット
  5. 肩は構築的にビルドアップ
  6. 袖ボタンは、本切羽の4つボタン
  7. ベントはサイドベンツ
  8. パンツはノータック
  9. パンツの裾はシングル

いきなり曲者なのが、「6つボタンの2つ掛けダブルブレステッド」。これが普段利用を著しく困難にしています。

まずダブルのスーツはビジネスシーンに適したスーツではありません。ファッション業界の方が「ビジネス利用もできる」と勧めるシーンを幾度となく、見てきましたが、これは間違いです。

特に面倒なのが「海外では普通にビジネスでも着ている」と勧めてしまう点。そもそも海外ではスーツを着る職種が限定されていて、たとえば私は大学時代にロンドンにいましたが、金融街以外ではスーツ姿を見ることは稀です。

つまり、カタい仕事に就いている方以外はそもそもスーツを着ていないわけです。では、カタい職業でビジネスシーンのプロトコルに合わないダブルスーツを着れるかというと、勿論NOです。

海外の知恵袋的なウェブサイトでも度々「ダブルスーツはビジネスでも着れますか?」という質問が上がっていて、その度に「NO」が突きつけられています。よっぽど地位が確立して、誰からも文句言われない状況にでもならない限りは避けた方が良いでしょう。

ちなみにダブルブレステッドを非難しているわけではありません。私も【レビュー】他のジャケットはもう不要?ZERBINOでLuxury Lineをオーダーしてみた感想でオーダーしてますし、お気に入りです。ただし、ビジネスで使えるか?私服として使いやすいか?は別の話だと理解しましょう。

さて、前述の事項を踏まえると、職場でダブルスーツを着れるのは、ファッション業界・広告のようなクリエイティブ系・服装が自由な会社あたりでしょうか?それ以外の方は、土日等プライベートでの着用になるかと思います。

すると多くの方は、土日の着用になるでしょうが、キングスマンのスタイルを貫くならば、タートルネックのニットとの組み合わせ等、軟派な着こなしはできません。クラシカルに着こなす英国スパイ感が一気に薄れ、イタリアのオヤジ感が出てきてしまいます。

すると必然的にシャツ・ネクタイと合わせることになりますが、厄介なのがキングスマンで主に着られている柄がストライプで、ネクタイもレジメンタル(ストライプ)になっていること。

・・・そう、ストライプ×ストライプというやや難易度の高い組み合わせなんです、彼ら。

ストライプ同士を組み合わせる時には、ストライプの幅(ピッチ)を変えれば、ゴチャゴチャしないとされますが、一歩間違えるとうるさいスーツになってしまいます。

【参考】センスなんてクソくらえ!論理で即決可能なネクタイ選択と見極め

では、そんなリスクを避けるために、映画で実際に使われたネクタイを買ってしまえ!というのも一つの手。実際に映画で使用されたものと同種のモデルを海外ECで購入することもできます。

しかし、ここにも落とし穴が。ここまでやると、もはやコスプレになってしまいますよね。

「クソ~!そんなに難易度が高いのなら、論理で即決できる無地のネクタイを!」といきたいところですが、ここにも罠が。

キングスマンのスーツは「究極の普通」という美学で成り立っているので、ネクタイを変えればもはやキングスマンでもなんでもない普通のスーツになってしまいます。

(出典:MEN’S EX 2020年5月号)
え、普通のキザなオジサン!!!笑」もちろん、スーツ自体は非常にカッコいいです。が、果たしてこれはキングスマンなのか?という感じになってしまいます。

・・・八方塞がりです。キングスマンのスーツスタイルは、こうしたことを覚悟した上で挑むか、まんま真似するのは避けるのが常道でしょう。

それでは続けます。

(出典:Kingsman: The Secret Service(2014) (c)20th Century Fox)
ポケットは水平ポケットで、肩は構築的にビルドアップされております。英国らしさの出るところですね。


(出典:Kingsman: The Secret Service(2014) (c)20th Century Fox)
次に袖ボタンですが、4つボタンの本切羽で、シーンによっては一番先のボタンを開けていますね。

さて、この本切羽ですが、なかなか意見の分かれるところ。本当に好きな人なら袖を見えれば本切羽なのか開き見せ(飾りボタン)なのかは見破れます。が、ぶっちゃけ「だから何だ」という所。

そもそもビジネスシーンでは、袖ボタンを外すべきではありません。これは日本限定ではなく、グローバルのプロトコルです。

その上、ファッション業界でない限りは、よほどのスーツ好き以外、本切羽なんて知りません。サイジングのように、知らなくても印象を左右するような箇所ではないので、普通なんのポジティブインパクトも与えません。

スタイルリストを名乗る方でも「スーツの着こなしを格上げするのが、本切羽にした上での袖ボタン外し!」のように語っている場合があるので、本当に注意しましょう。どこまで本気で言ってるのかはわかりませんが、私服のオシャレとビジネスでのスーツは違います

いろいろ言いましたが、本切羽が本物志向なのは確かです。こうした背景も踏まえつつ、ご自身の判断が必要かと思います。


(出典:Kingsman: The Secret Service(2014) (c)20th Century Fox)
ベントはサイドベンツになっています。ダブルブレステッドの場合は、シングルブレステッドと比べやや締め付けられるため、サイドベンツにすることで、動きやすくなります。


(出典:Kingsman: The Secret Service(2014) (c)20th Century Fox)
パンツはノータックで、パンツの裾はシングルです。

いかがでしょう。改めてダブルブレステッドということ以外はえらく普通のスーツですよね。

このアンダーステイトメントなところに英国らしさがあるようにも思いますし、決して悪いことではありません。むしろ個人的には、ド派手な柄のスーツなんかより好きです。

でも、だからこそ、雑誌やテーラーのブログ等て紹介される「少し独自性を出したキングスマンスーツ」は、至って普通のスーツにしか見えません。

難しいですね、ホント(笑)

シャツについて押さえるべきポイント


(出典:Kingsman: The Secret Service(2014) (c)20th Century Fox)
キングスマンのシャツは、英国ターンブル&アッサーのものを使用しているので、そちらに則り押さえるべきポイントは、以下5点です。

  1. ワイドスプレッドカラー
  2. 色は白
  3. 袖はダブルカフス
  4. ポケットは無し
  5. 前立ては、表前立て

襟型はターンブル&アッサー定番のワイドスプレッドカラー。個人的には一番好きな襟型です。

シャツの色は白。おそらくキングスマン全編通して白無地しか着ていません。

袖は、ダブルカフス仕様になっています。ダブルカフスの場合、カフリンクスで袖を留めることが前提になるので、ご注意を!ちなみにカフリンクスはビジネスシーンでつけても全く問題ありません。(もちろんド派手なものはNGですが・・・)

その他ポケットは無く、前立ては表前立てになっていました。これもまさにターンブル&アッサー定番の仕様ですね。

小物について押さえるべきポイント

ここでは靴、ブレイシーズ(サスペンダー)とネクタイ、ポケットチーフについて触れますね。

靴は作中の「ブローグではなくオックスフォード」にもあるように、飾りのないストレートチップが良いでしょう。

(出典:Kingsman: The Secret Service(2014) (c)20th Century Fox)
また、ブレイシーズはジェームズ・ボンドのスーツスタイルでもお馴染みですね。ブランドではアルバートサーストン等が有名です。

しかし、こちらもビジネスシーンではあまり好ましくは取られない場合も。英国由来だからイギリス人は付けてる!みたいな暴論を吐くファッション業界の方もいますが、イギリスの投資銀行のジュニア向けにスーツの着こなしを指南したサイトでは、ブレイシーズについては、明確に付けるべきではないとすら書かれていました(笑)

次にネクタイについてですが、こちらは既に触れた通り、レジメンタル柄のものを着用しています。(一部ドット柄を着用しているシーンもありますが基本的にはレジメンタル)

(出典:Kingsman: The Secret Service(2014) (c)20th Century Fox)
レジメンタルは、英国の連隊旗に由来し、「所属」を示す柄です。まさにキングスマンは皆同じネクタイをしていることからも所属的な意味合いが強く見えます。

余談ですが日本のサラリーマンは、レジメンタルのネクタイをつけているケースが多いように思います。お店でよく売られているのでしょうか?

最後にポケットチーフ。ハリー含めエージェントの胸ポケットには、ポケットチーフがTVフォールドで収まっています。

【参考】動画で理解!正しく華やぐポケットチーフの折り方と活用法

007のボンドスーツとの共通点と名言


(出典:Kingsman: The Secret Service(2014) (c)20th Century Fox)
ここまで読んでいただいた方は、すでにお気づきでしょうが、ハリーのスーツの着こなしは、007のジェームズ・ボンドと共通する部分が多く見られます。

仮に彼らの真似をして着ない場合であっても、スーツをビシッと着る際のヒントは与えてくれるように思います。

最後になりますが、ハリー・ハートは映画の中でこんな名言を残しています。

“Manners maketh man. Do you know what that means? Then let me teach you a lesson.”
“礼節が人を作る。分るか?そうか、教えてやろう。”

背筋が伸びる良い言葉だと思います。気が付くと私も緩みがちなので、定期的に思い出した方がよさそう・・・。

このセリフは、パブにいるならず者らに向けた言葉ですが、一般的にイメージされる英国人らしいセリフです。まぁ実際にロンドンにいると、日本人がイメージする英国紳士なぞ、ほとんどおりませんが・・・(笑)

階級が高い人々には一部、ファッション業界で語られるような「親から服の着こなしを習う」「傘を持ち歩く」イギリス人がいるのかもしれません。が、大半はそもそもスーツも着なければ、日本人では傘をさすような雨でも平気で何も持たずに歩いています。(というかフランス等も含めヨーロッパ全般、日本人ほど傘をさしません。)

さて、メゾフォルテラウンジ(Mezzoforte Lounge)では、このようにドラマや映画の登場人物のスーツスタイルを紹介するだけでなく、実際に私がオーダーしたスーツや試着したお店等を、感覚論に終始せず論理と組み合わせて評価したりもしていきます。

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