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残念なスーツに関する現実と第一印象の重要性
仕事をしている時、電車に乗っている時、「なんだか頼りないなあ」、「仕事ができなそうだなあ」と感じるサラリーマンを見ることはありませんか。
そのサラリーマンの方も実はめちゃくちゃ仕事のデキる方かもしれません。
たとえば、職場ではブイブイ言わせている商社マンかもしれません。圧倒的な給与水準を誇る外銀マンかもしれません。
よく考えたら、あなたはその方のことを何も知りません。なのに「判断」している。
人は数秒で第一印象を判断し、その多くは視覚情報から得ていると言われています。
ビジネスパーソンに対する視覚情報として大部分を占めるものは何でしょうか。
そうお察しの通り、「スーツ」です。
最初の例に挙げたサラリーマンのような方を、自分の記憶の引き出しから思い出してみて下さい。
だぼっとしたスーツ、長すぎる/短すぎるネクタイ、ボロボロの靴等が当てはまらないでしょうか。
あなたも気づかないうちに判断しているように、他人も気づかないうちにあなたを判断しています。
「見た目で判断するなんてしょうもない」、「俺は働きで見せる方だ」という方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、最初に与えられた印象が悪い場合、その印象に引きずられてあなたの行動が悪く捉えられてしまう。
そして顔を会わせれば会わせる程に印象が悪くなり、結果的に仕事の評価も悪くなってしまう・・・なんてこともあり得ます。
極端に聞こえるかもしれませんが、これは初頭効果、ハロー効果、単純接触効果という心理学的な現象がある以上、可能性としてあり得る話なんです。
逆に第一印象が良いと、小さな行動が本人の予想以上に好意的に捉えられ、結果的に仕事の評価に繋がることも心理学的な現象としてあり得ます。
それくらい第一印象というのは重要です。こんな経験、きっとあなたにもあるのではないでしょうか。
あの時の「偶然の経験」を「意図的」に生み出す為に、スーツを利用しましょう!
残念なスーツを購入してしまう理由
さて上記を踏まえた上で、残念なスーツを購入してしまう理由ですが、一言で言うと「明確な目的がないから」です。
スーツを買うのは、会社からスーツを着ろと言われているから、という方が多いのではないでしょうか。
恥ずかしながら元々は私もそうでした。しかし、
これでは店員に薦められたスーツをなんとなく購入する、自分のセンスでなんとなく良い感じのスーツを購入するといった一種の負けパターンに入ってしまいます。
「え!店員任せじゃ負けパターンなの?」と感じるかもしれませんが、明確にスーツ購入の目的を伝えないままに全て店員任せにしてしまった場合、あなたを一流のビジネスパーソンに仕上げるスーツにはならない可能性が高まります。
理由の1つは、販売員があなたがスーツを通してどのような目的を達成したいのかが分からず、適切なスーツを薦められないからです。
目的が「休日に着てオシャレに見せること」なのか「平日に着てデキるビジネスパーソンという印象をつけること」なのかでは、着るべきスーツも異なります。
さらにもう1つの理由は、量販店等、お店に寄っては販売員の力量に差があり、そもそもビジネスの場に適切なスーツを選択できない場合があるからです。(元も子もないですが・・・笑)
また、目的不明の状態で自分の感覚に基づきなんとなく選んだスーツは言うまでもありません。
特に40代以降の男性は、1980年代のバブル全盛期に流行したこともあり、オーバーサイズのスーツを選ばれる傾向にあります。
しかし、本来スーツとは身体のラインに沿ってぴったりと着るものです。
最近では特にクラシック回帰で、ぴったりと着るスーツが主流になっている為、より古臭く感じさせてしまいます。
「一流を作るスーツ」の購入に向けたポイントとは
まずはスーツ購入の目的を明確にしましょう。
ここでは「デキるビジネスパーソンに見せること」を目的にします。
実はビジネスの場で適切と言われるスーツスタイルはかなり明確にルール化されている為、ルールを押さえていれば、論理的にあなたを一流に仕上げてくれるスーツが購入できるわけです。
一流に仕上げてくれるスーツとは、大きく次の2点を押さえたスーツを指します。
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①サイズが合っていること
②落ち着いた色・柄になっていること
①サイズが合っていること
値段に関わらず最も重要なポイントです。
高級スーツでもサイズが合っていなければ、期待する印象を得ることは困難です。
たとえば海外の高級ブランドのお店に入るとカッコいいスーツが並んでいますが、欧米人と日本人では腕の位置等、身体の作りが異なる為、どうしてもぴったりと着るのは難しい。
するとハンガーにかけるとカッコいいのに着てみるとコレジャナイ感ということに・・・
逆に3万円のスーツでもサイズが合っていれば、値段を遥かに上回る好印象を得ることも期待できます!
それでは「サイズが合っている」とはどういう状態なのでしょうか?
基本的には余計なシワが出ていない状態のことを指します。
それでは、パーツごとに具体的にどんなシワが出ているとNGかをご紹介していきます。
(図① 肩幅のフィット感とシワの関係性 -正面)
まずは肩幅のフィット感とシワの関係性から見ていきましょう。
ご自身の肩幅に対して、ジャケットの肩幅が小さい場合は、ご自身の肩がスーツに押さえつけられる形になる為、肩が張り出し、肩先も内側へ食い込みます。
逆にご自身の肩幅に対して、ジャケットの肩幅が大きい場合は、肩の部分の布に余りが出るので、凹んでしまいます。
食い込みも凹みもなく、シワがでない状態がベストなサイジングです!
(図② 肩幅のフィット感とシワの関係性 -背中/腕)
肩幅のフィット感について、背中・横から見た場合についてです。
いずれについてもジャケットが大きすぎる場合は縦ジワ、小さすぎる場合は横ジワが入ります。
袖山の縦横ジワについては鏡でも確認できますが、背中のシワについては自分で確認するのは難しい為、購入の際に販売員に写真を撮ってもらうと良いでしょう。
ちなみに背中の横皺については、肩幅以外にも前肩であること、いかり肩であること、反身であること等の複数の原因が考えられることに注意が必要です。
しかし、原因が肩幅の場合に限らず、基本的に大きすぎる場合は縦ジワができ、小さすぎる場合は横ジワができるのはポイント。
店頭でご試着の際には、自分に対して大きいのか小さいのか、しっかり見極めましょう。
(図② 胸囲の位置とシワの関係性)
次に胸囲のフィット感とシワの関係性についてです。
ご自身の胸囲に対して、ジャケットの胸囲が小さすぎる場合は、脇の下周辺や二の腕に横ジワが出ます。(ちなみに、この脇の下周辺や二の腕のシワは腕に対してジャケットのアームホールが小さすぎる場合にも出ます。)
ご自身の胸囲に対して、ジャケットの胸囲が大きすぎる場合は、ジャケットの中で胸周りが不必要に泳いでしまい、大きな縦ジワが出ます。
(図③ 胴囲の位置とシワの関係性)
次に胴囲のフィット感とシワの関係性についてです。
ご自身の胴囲に対して、ジャケットの胸囲が小さすぎる場合は、X字状のシワが出ます。
逆にご自身の胴囲に対して、ジャケットの胸囲が大きすぎる場合は、胸囲と同じく大きな縦ジワが出ます。
(図④ 肩の位置とシワの関係性)
次に肩の位置とシワの関係性です。
ご自身の肩の位置に対して、ジャケットの肩の位置が前後にズレていても当然シワができてしまいます。
先程少し触れましたが、欧米人は肩が後ろについている傾向にある為、既製品を着た場合、前方にシワができやすくなります。
逆に日本人は方が前についている傾向にある為、既製品を着た場合、後方にシワができやすくなります。
こちらも前方後方どちらにもシワができない状態がまさにサイズが合っているジャケットです。
(図③ 第七頚椎のフィット感と動きやすさの関係性)
次に第七頚椎のフィット感と動きやすさの関係性です。
「第七頚椎ってどこだよ・・・」となる方も多いと思いますが、上図の赤枠の部分です。
動いた時にこの赤枠の部分にスーツの襟がくっついたままかがポイントです。
電車の吊革につかまるポーズをして、この第七頚椎と襟がくっついたままであれば、かなりあなたのサイズに合ったスーツでしょう。
ただし、これはアイロンワークにしっかり時間をかけた仕立ての良いスーツでないと実現しない場合が多いです。
「吸い付いてればラッキー」ぐらいでないと、たとえオーダーであってもスーツを選べなくなる可能性が高いです。
(図④ 身体に合った着丈)
次にジャケットの着丈についてです。
これは細かく言うと脚の長さ等、人によって最も合った長さは異なります。
目安としては上図の3つのうち、あなたが最もしっくりきたものを選択すれば問題ありません。
お尻と腿の境目や、腕をおろした際の中指の第二関節と付け根の間についてはご自身でも場所を特定できると思いますが、第七頚椎から床までの長さの半分については販売員の方に実際に測ってもらうと良いでしょう。
(図⑤ お尻のフィット感とシワの関係性)
最後にお尻のフィット感とシワの関係性です。パンツを選ぶ際には、ウエストのサイズを気にしがちですが、お尻のフィット感が重要です。
具体的にお尻のフィット感とは、上図の通り、余計なシワがない状態を指します。
お尻に対してパンツが大きすぎても小さすぎてもやはりシワができてしまいます。
ウエストサイズはお直しによっていくらでも対応して頂ける為、サイズの合ったパンツを購入する為にはまず、お尻で合わせましょう。
②落ち着いた色・柄になっていること
ビジネスの場で適切な色はネイビーやグレーと言われます。
その為、色としてはこの2つを押さえておけば基本的に問題ありません。
(図⑥ ビジネスに適した色において考慮すべきポイント)
ネイビーについては、日本人の肌に合う為、持っておきたい一着かと思います。
一方で柄が無地である場合には生地の値段が反映されやすい為、購入するのであれば、ここぞの一着として無地のネイビーか、柄の入ったネイビーが良いでしょう。
グレーについては、コーディネイトしやすいとされており、こちらも持っておくと着こなしにバリエーションが生まれるでしょう。
一方でトレンドが反映されやすく、暗めを選ぶと疲れた印象を与えてします可能性があります。
購入するのであれば、トレンドから外れることのないミディアムグレーをオススメします。
柄については、無地(ソリッド)、シャドウストライプ、ピンストライプ、がビジネスの場に適しているとされています。
無地については説明不要かと思いますので、残りのストライプ2種類について説明します。
シャドウストライプとは、遠目では無地に見える程度の目立たないストライプです。
織る際に糸の方向を変えることでストライプに見せており、無地よりも生地の表情が豊かだとされます。
ピンストライプとは、ピンのような極細の点線のストライプです。
生地の色とは異なる色の糸でストライプを表現しており、伝統柄とされています。
実際の生地の写真など詳細は素材・柄からイギリス・イタリア生地まで!スーツ生地の特徴と違いにまとめましたので、ご興味がありましたら、ご覧ください!
「知識としては理解したけど、色に柄にと選ぶのが面倒!」という方は以下の組み合わせのどれかで3着購入してみると良いかもしれません。
①ミッドナイトネイビーxシャドーストライプ
②ミディアムネイビーxピンストライプ
③ミッドナイトネイビーx無地
①ミディアムグレーx無地
②チャコールグレーx無地
③ネイビーx無地
たかが服。たかが第一印象。しかし、その「たかが」の積み重ねがあなたの今後を大きく左右するかもしれません。
今後もスーツに関する基本はもちろん、実際に私が袖を通した結果や、仕立てた結果、そして店員と話した経験などを、感覚論に終始せず論理と組み合わせて整理していきますので、少しでも興味を持っていただけたら、是非Feedlyの登録やTwitterのフォロー、noteの応援を宜しくお願いします!