便利なネットオーダーと代償の着心地!?ファブリックトウキョウでのオーダースーツ考察


(出典:https://fabric-tokyo.com/pages/2017-fw08-first-time-order/?vialink=about)
新興IT企業によるオーダースーツ業界への参入で注目を集めたFabric Tokyo(ファブリックトウキョウ)。店内は一般的なテーラーとは異なり、まるでアップルストアのようなシンプルかつオシャレなデザインになっています。

店舗の在り方にも新しい試みがあり、店内での経験を生地選びと採寸に特化させ、気に入った生地はQRコードで読み込み、購入は家に帰ってからゆっくり吟味した上でアプリで行うという切り分けも行われています。

こうすることで、店員に言われるがままオプションを上乗せされている感覚なく、自分の意思でゆっくりとオーダーすることができるというわけです。

全体的にDIFFERENCEと似たようなシステムにはなっていますが、店舗はより展示場としての機能に特化している印象です。もちろん、一方、店舗でも購入できますので、そこは心配いりません!

今回はそんなファブリックトウキョウのオーダースーツってぶっちゃけどうなの?といったところを考察していきたいと思います。

目次

スーツのオーダーの分類は「イージーオーダー」


ファブリックトウキョウはマシンメイドで、CADに登録されたベースとなる型紙から縦・横幅調整し、あなた用の型紙を作成する「イージーオーダー」を採用しています。

ゲージ服というサンプルとして用意されてた服を着て、採寸結果に合わせて調整していきます。また、なで肩や猫背などの方向けの体型補正も行われます。

パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーの違いや詳細が気になる方は、仮縫いの有無は無関係!もう騙されないパターン/イージー/フルオーダーの分類にまとめましたので、是非ご覧ください。

ファブリックトウキョウのスーツの仕様と課題

オーダースーツはサイジング命で、見た目的にはサイズが合っていればカッコよくは見えます。

なので、一度店舗で採寸して、本人に合ったサイズさえ見つかれば、ネットでいつでも注文できるようにすれば、便利だ!というのがファブリックトウキョウの特徴です。

・・・が、着ている本人の着心地はサイズとは別に、スーツの仕立てられ方、仕様に影響を受けます。具体的には襟付けと袖付けの仕様がスーツの着心地を左右します。

襟付けはしっかりとアイロンワークを施して生地を首の形合わせて捻じ曲げることで、ジャケットを着た際の体圧を分散し、疲れにくく仕立てた「一枚襟」と、そういった作業をスキップして簡易的に立体感を作り出す「二枚襟」という仕様があります。

ファブリックトウキョウでは二枚襟を採用しているので、首への吸い付きのレベルは高くはありません。

袖付けについては、肩の付き方やいせ量などが重要。前身頃に対して後身頃側の生地を多めに使い、それらをいせ込んで縫い合わせることで、可動域を担保しているわけですが、見るより着てみるのが一番。

しっかりした仕立てのジャケットを着たことがある方が着れば分かると思いますが、ファブリックトウキョウの仕立てレベルは標準程度で、袖の可動域の部分で嬉しい驚きを感じることはありません。

これはどういうことか?つまりたしかに見た感じはスマートに見えるけど、結局「着ていて疲れるもの」の域を出ないということです。

たしかに、ECでのオーダースーツは革新的ですが、あなたにとって重要なのは本当に「店舗に行かなくても買える事」なのかを考えてみた方が良いかと思います。

どうしても店舗に行きたくない人はともかく、生地は目で見た方が発色も手触りもよくわかるし、そもそも長時間着ていても疲れにくいスーツの方が良いなと思うのであれば、一考の余地はあるでしょう。

それらを理解した上で、会社の理念や革新性、家で買えるというメリットが重要であれば、ファブリックトウキョウは絶対に活用すべきブランドでしょう!

「サイズさえ合っていれば着心地も完璧!」のようなまやかしが、比較的お手頃なオーダースーツ業界にありますが、別にそういうわけではないよ・・・ということで、その仕組みを解説したのが「身体に合う」の嘘。フルオーダー信仰が崩壊し、既製品最強が生まれる理由です。
ファブリックトウキョウにしようかまだ悩んでいる方であれば、ぜひ一度ご覧ください。

ファブリックトウキョウで選べる生地と価格

ファブリックトウキョウでは約300種類にも及ぶ生地が取り扱われていますので、店頭で実際の手触りを感じながら「これだ!」という生地を選ぶことができます。価格帯も分かりやすく公式サイトに掲載されていますが、一部こちらにも記載しておきますね。

  • シルクウール ¥105,000
  • タリア・ディ・デルフィノ ¥95,000
  • トーニャ ¥85,000
  • ドラゴ ¥85,000
  • 水の都 ¥75,000
  • マルラーネ ¥75,000
  • CANONICO ¥75,000
  • パウロ・オリベーラ ¥65,000
  • SOLARO ¥65,000
  • サマーウールシアサッカー ¥59,800
  • New Zealand Wool ¥59,800
  • オリジナル ¥49,800〜59,800
  • クールマックスウール ¥49,800
  • ポリエステルウール ¥37,800〜¥44,800

オリジナル生地であり、尾州の木曽三川の伏流水を染色過程に使った「水の都」について、紹介動画がYoutubeに上がっていますので、ご紹介します!

ファブリックトウキョウのカスタマイズ概要


(出典:https://fabric-tokyo.com/pages/guide/?vialink=header)
さて、デザインについてです。Fabric Tokyoのゲージサンプルは1種類のみの為、ブリティッシュやイタリアンといった類から選ぶわけではなく、飽くまで1つのサンプルから体型に合わせて調整・補正を行っていきます。

ちなみにブリティッシュやイタリアンといった形についてはなぜあの人はカッコいいのか?差がつくスーツ・ジャケットのポイントにまとめていますので、気になる方ご覧ください。

それではFabric Tokyoで選択可能なディテールについてです。まず、袖ボタンは重ねつけが基本で、+¥3,000で本切羽にも変更可能です。ポケットは、ノーマルやスラントから選ぶことができ、チェンジポケットも+¥1,000で対応頂けます。ベントはセンターベント、サイドベンツ、ノーベントから選ぶことができ、裏地も総裏、背抜きどちらも選択できます。

またスリーピースが好きな方は、生地の値段に応じて値段が異なりますが、+¥10,000〜20,000でベストを作ることができます。具体的には

  • ¥85,000以上の生地 ⇒ ¥20,000
  • ¥75,000の生地 ⇒ ¥15,000
  • ¥59,000〜¥65,000の生地 ⇒ ¥13,000
  • ¥49,000の生地 ⇒ ¥14,000
  • ¥44,800の生地 ⇒ ¥13,000
  • ¥37,800の生地 ⇒ ¥13,000
  • となっています。

    納期は、4週間程度とのことです。オンラインでの購入時に納期が表示されますので、店員に確認せずとも、だいたいいつ頃の仕上がりになるのかを知ることができます!

    「俺評価。」は?


    ずばり、「不要」としました。

    評価方法の詳細については9割の人はテーラー選択ミス?「俺評価。」はじめましたをご覧ください!

    一部ですが、同様の価格でより優れたテーラーは確実に存在しますし、実際に結局5万台のスーツってどこがオススメ?最高のオーダースーツが見つかる新宿の黄金ルートで、友人をあちこちのお店へ連れ回した際にも、ファブリックトウキョウへの食いつきは正直、良くありませんでした。

    「着心地」というのは、プロでなくとも分かります。

    特に本当に圧倒的に着心地が良いものは、上記の記事で登場する私の友人のような一般サラリーマンでも違いに気付きます。

    そして、一旦そういったスーツを試着すると、やはり仕立てのレベルが高くないテーラーのスーツに驚いてしまうわけなんですね。

    もちろん、ファブリックトウキョウも決して悪い物を作っているわけではなく、極めて一般的な水準のスーツを仕立ててくださいます。初めてのオーダーであれば、不満を持つもこともないんじゃないかと思います。

    ただし、基本的には「初心者向けのテーラー」という理解で良いかとお思います。

    東京を中心に店舗を展開するファブリックトウキョウ

    Fabric Tokyoは全8店舗のうち6店舗が東京にあります。具体的には
    銀座店 / 表参道店 / 吉祥寺店 / 渋谷MODI店 / 新宿店 / 秋葉原店 / 日本橋店 / 横浜店
    となっており、銀座、表参道、吉祥寺店については冒頭で触れた生地選びと採寸に特化させた店舗になっています。

    いずれの店舗であっても採寸をプロに実施してもらう以上、関東にいないと購入が厳しいように感じられます。

    しかし、ネックは採寸の部分だけですので、地方にお住いの方であっても、東京に立ち寄る際に採寸のみ済ませておくと、以後は全てアプリから購入可能です!

    ちなみに生地についても気になったものがあれば、現物を発送もらえるので、実店舗にいちいち見に行く必要もありません。

    オーダーに向けた事前準備

    こちらはオプショナルですが、一流のビジネスパーソンとして、適切にスーツを着こなすための情報を以下にまとめましたので、ぜひご覧ください!

    そもそも論理的に一流のスーツスタイルとは・・・
    え、まだセンスに頼ってるの?論理で再現できるスーツの着こなし

    身体に合ったスーツとは・・・
    あなたはなぜ残念なスーツを購入してしまうのか?一流を作るスーツとは

    差がつくポイントは・・・
    なぜあの人はカッコいいのか?差がつくスーツ・ジャケットのポイント

    生地を選ぶ際のポイントや特徴は・・・
    素材・柄からイギリス・イタリア生地まで!スーツ生地の特徴と違い

    パンツの裾上げの対処法は・・・
    知らないのに結局聞かれる…パンツの仕上げの種類と対処法

    販売員と上手くやり取りを行う方法は・・・
    うんちく不要!販売員の知識を「運用」したスーツ購入法とは?

    スーツの着こなす上で最低限押さえるべきことは・・・
    意外と知らない?スーツを着る上での基本

    今後も、実際に私が袖を通した結果や、仕立てた結果、そして店員と話した経験などを、感覚論に終始せず論理と組み合わせて整理していきます。

    少しでも興味を持っていただけたら、是非Feedlyの登録Twitterのフォローを宜しくお願いします!