徹底解説!オーダースーツの基本と種類。おまけで嫌な店員実態も…!


スーツをオーダーしてみたい!けど、値段も不安だし、そもそもどうやってオーダーするのか分からない・・・そんな方、案外多い気がします。少なくとも私はそうでした。

ネットで広告を見て、思ってたより安い!よし、行ってみようでお店へ訪問。

「広告のスーツが欲しくて」と告げると心なしか販売員の態度が冷たく・・・。

広告にあった生地のコーナーへ連れられた私は、黒や限りなく黒に近いネイビーしかない生地を前に「この生地の素材から選んで、色はまた別に希望のものが選べるんですか」と無邪気に聞きました。

は?この中から選ぶんですが。」

・・・この販売員の一言と蔑視は、初めてのオーダーの私にはかなりショックでした(笑)

どうやら色も含めて生地らしいという状況だけをこの一言から理解しつつも、小馬鹿にした販売員の目から逃げるように店を出て、すごく嫌な気分で帰宅したことを覚えています。

オーダーをためらう方の中には、こういった経験への恐怖感がある方もいるのではないでしょうか。

今回はそういった方への事前予防!オーダースーツとは、そもそもどういう仕組みかを解説します!

目次

オーダースーツの構成要素

「困難は分割せよ」

デカルトではないですが、まず最初に恐怖感の元凶「よくわからないオーダースーツ」を構成要素別に分解してみましょう。

(図①スーツの構成要素別のポイント)
基本的には、生地×モデル×詳細デザイン×サイズで出来ていると押さえておけば充分です。あまり難しいことを考えずに、一旦大きくこういうものなんだとだけ知っておきましょう。

構成要素:①生地

図にもある通り、生地は所詮、生地業者・ブランドの提供している生地を収集しているに過ぎないことが大半です。

特に各生地ブランドが自社の生地のラインナップをまとめたバンチブックから選ぶ場合は、他店でも同じ生地が選べることもあるでしょう。

そういう意味で、前述のような腹立たしい店員に出会ったら他のオーダースーツブランドや店舗に行きましょう

よっぽど元のスーツ屋のモデルや詳細デザインにこだわりがない限りは、店やブランドを変えてしまった方が満足度が高まるはずです。

個人的な体験ベースでいうと、MARUNOUCHI グローバルスタイル 本店、銀座SKAEYA 新宿店、日本橋三越本店、銀座三越のイージーオーダーおよびフルオーダーあたりでは店員からの遥か天の上から目線で、だいぶ嫌な思いをした経験があります。

ただし、グローバルスタイルでも銀座本店ではそんなことはなく気持ちよく買い物できました!銀座SAKAEYAは同じ新宿店でも対応の良いご年配の店員の方もいらっしゃいましたし、丸の内店でも気持ち良く買い物できました!

シンプルに態度悪いなあ・・・と感じたのは佐藤テーラー 四谷店ですね。価格もお手頃で仕立てにもこだわっているので、期待に胸を膨らませて訪れただけに、ものすごく残念でした。オーダーサービス自体は引き続き期待しているので、ぜひ他の店舗でオーダーしてみたいなと思っています!
*すべて個人の意見です。

構成要素:②モデル

話を戻しましょう。お気に入りの生地が見つかったら、モデルです。ここからは各スーツ屋独自のものとなってきます。

(図②モデルの大分類)
独自とはいっても大抵の場合は、ブリティッシュ・イタリアン・アメリカンのどれかに大別されます。

そこから各ブランドが独自のテイストを上乗せしているに過ぎません。

強いこだわりがなければ、自分の身体に最も合うのかこの3つのうちどれかだけ押さえておけば、充分です。

大雑把に言うと、ブリティッシュは背が高く、細身の方に合ったスタイル。

イタリアンクラシコは中肉中背の方に合ったスタイル。

アメリカントラッドは、まさにアメリカン、大柄でがっちりとした方に合ったスタイルとされます。

とはいえ、もちろん細身の方がイタリアンをエロく着ることもできますし、ガタいの良い方がブリティッシュを着て、安定感・信頼感のある印象を与えることもできるでしょう。

どれが自分に合うかは体型だけでなく、業種や性格、与えたい印象などの総合評価で決まります。

一旦、お店の方と相談したり、試着しながらベストなモデルを見つけていくと良いでしょう。

構成要素:③詳細デザイン

ここで大きく押さえるべき点ではありません。襟やポケット等いじれるんだなとだけ理解しておきましょう。

詳細について知りたい!という方はなぜあの人はカッコいいのか?差がつくスーツ・ジャケットのポイントにまとめましたので、ご覧ください!

構成要素:④サイズ

スーツを購入する上で最も重要なのが、このサイズです。

どんなに高級生地でカッコいいモデルにし、詳細にこだわっても、サイズが合っていなければ、ただ高いだけの残念スーツです。

高くなればなるほど、埋没コストに引きづられ、ズルズルと情けない残念スーツを着てしまうのが常です。

そんな事態を避けるためにも「自分の身体に合っている」という状態をなんとなく知った上で、オーダーに望むとベターです。

最悪ここは押さえずとも、しっかりとした販売員に出会えれば、任せてしまってOKです。

念の為、気になる方は、あなたはなぜ残念なスーツを購入してしまうのか?一流を作るスーツとはでポイントを押さえておくと心配を払拭できると思います!

さてサイズといえば、もう一つ押さえるべき点がオーダーの種類の違いです。

(図③オーダーの種類別QCD)
どこのオーダースーツ屋も「●●オーダー」と様々な名称を掲げている為、よくわからなくなりがちです。

全部まとめ出すと逆にわけが分からなくなるので、最も一般的な呼称でまとめました。

店舗に行ってよくわからない名称を見つけたら、このうちどれですかと尋ねてみると良いかと思います。

大きな概念から見ていきましょう。メイド・トゥ・メジャー(ス・ミズーラ)ビスポーク(サルトリアーレ)と二分されます。表記は英語での呼称で、括弧になっているのはイタリア語での呼称です。

  • 既製の型紙がある中で、自分の身体にある程度合わせて調整してくれるのが、メイド・トゥ・メジャー(ス・ミズーラ)
  • 自分専用に型紙を作ってくれてイチから仕立ててもらえるのが、ビスポーク(サルトリアーレ)

ぐらいに理解しておきましょう。

そしてこのビスポーク(サルトリアーレ)は、いわゆるフルオーダーと同義です。

厄介なのが、メイド・トゥ・メジャー(ス・ミズーラ)。

これは日本でよくある分類だと、パターンオーダーおよびイージーオーダーの双方を含みます。(パターンオーダーであることが大半ですが)

パターンオーダーとイージーオーダーの最大違いは、図にもあるようにサイズをいかに自分の身体に合わせることができるかにあります。

その度合に応じて値段や納期にも影響を与えますが、実際のところ値段は前述の生地等によって前後する為、必ずしもイージーの方が高いとは限りません。

各ブランドはどんなオーダー?


(図④オーダーの種類と各ブランドのマッピング)
最後に有名所のファッションブランドやオーダースーツブランド、百貨店などをオーダーの種類別にマッピングしましたので、ご紹介します。

まずは有名ファッションブランド。ここではゼニア、ダンヒル、ブリオーニ、ヒューゴ・ボス、アルマーニブルックスブラザーズ、ラルフローレン等を挙げています。

こういった所は基本的にメイド・トゥ・メジャーでのオーダーとなります。

ちなみにゼニアやダンヒルは生地としても見かけることが多いかと思いますが、自社でスーツの仕立ても行っています。

前述の構成要素でいうと生地〜サイズまで一括で対応しているというわけです。

ただし、ゼニアやダンヒルの直営店でオーダーしてしまうと最低でも35万〜50万は覚悟しなければなりません。

そのため、ゼニアやダンヒルの生地で好きなものが見つかった場合には、図にある独立系オーダー専門店等に足を運び、ゼニアやダンヒルを生地を選ぶと良いでしょう。

だいたい7万〜20万程度で作ることができます!

独立系とは別に量販店系と分けたものの、量販店だから劣る、ということはありません。

むしろ古く、トレンドを全く意識せずに続けているイージーオーダー店等で仕立てるよりも常にトレンドを意識しつつ、進化を遂げている量販店系でパターンオーダーする方が、ビジネスで使える伝統的なモデルで仕立てた場合でも、スマートに仕上がります。

個人的にもユニバーサルランゲージのハンドメイドはオススメですしね!

フルオーダーを受け付けている有名所としてはサヴィル・ロウのブランド、Gieves & Hawkes、HUNTSMAN HENRY POOLEを挙げましたが、日本在住でいる限りはなかなかこれらのブランドでフルオーダーということもないでしょう。

お値段も50万〜となります。(ロンドンへの旅費を含めるとさらに・・・)

百貨店はパターンオーダー用にブランドを持っていたり、イージーオーダーやフルオーダーを受け付けていたりと幅広く対応しています。

松屋銀座のように有名バイヤーが在籍していたり、と安心感がある存在です。

一方、前述の通り「スーツが好き」というより「お金持ちの客が好き」という販売員は少なからずいますので、そこだけは注意が必要です。

また、全体的に価格は独立系のオーダー専門店と比べ高いです。

他の記事は極力ファクトベースで記載してきましたが、本記事では個人的な感想や実体験も押し出してみました。

反響があれば、もう少し各ブランドや店舗での対応実態等への言及も検討します。

ただ声を大にして言いたいのは、大半のブランド、店舗では販売員の方の対応は良い、ということです。

飽くまでこの記事を読まれた方が実際に店舗に足を運んだ際に、「自分にだけ冷たい」と感じない様、「大丈夫、実際にこんな人もいますよ!」ということを示せればと思います。