(出典:https://foxflannel.com/)
「憧れのフランネルといえば」のFox Brothers(フォックスブラザーズ)!
今回は俺評価。でも「イチオシ」としたファイブワンでオーダーしてみたので、どのような仕上がりかをレビューしたいと思います。
ファイブワンが取り扱ってるオーダーの全容については、「日本屈指の大阪の工場」の異名!ファイブワンのオーダースーツの仕様の考察をご覧ください。
目次
オーダー内容
ざっとまとめると・・・
こんな感じでオーダーしました。
ファイブワンでは、AMFステッチ、本水牛ボタン、キュプラ素材の裏地、1枚襟がすべて標準仕様となっていますので、以前絶賛したゼルビーノ同様、標準で高級感のある仕上がりになります。
気になる価格については、¥104,000!
Fox Brothersの生地を選んでいることや仕上がったクオリティを考えると、個人的には許容範囲です。
今回は一般的な仕事とプライベートの兼用がテーマ!
生地は無地ではなく、グレンチェックにしました。
こちらはご年配の方もスーツで見慣れた柄ですので、基本的にビジネスでも問題ないでしょう。しかも青のペーンは薄目のものを選んでいるので主張を弱めです。
そしてパッチポケットですが、こちらも昨今のジャケパンが許されている職場であれば、まず問題のない仕様かと思います。
銀行などのカタい職場や、営業の方では厳しいかもしれませんが、その場合は、ファイブワンの仕立ての良さはどうよ?という観点で見ていただければと思います。
仕立てのレベルが高ければ、あとは生地やポケットの形を変えれば良いだけなので。
仕上がったジャケットのご紹介!
まずは恒例のブランドの証明(笑)
イギリスの老舗、Fox Brothersのウール100%の生地です。
いつかFox Brothersの生地でオーダーしてみたいとは思っていましたが、まさかスーツより先にジャケットで使うとは(笑)
Fox Brothers特有のベージュがかったグレーはもちろん、旧式織機で生地を織り上げていることによる生地の柔らかさも気に入っています。
正面から見るとこんな感じです。
そこまで目立ちませんが、右腕側の脇あたりに軽く凹みができてしまっています。
肩パッドも裄綿も抜いたことや、私の肩がなで肩であること、芯材をかなりソフトなものにしたこと等の複合要因で起きてしまったようです。
最初の仕上がりでは、もう少しハッキリ出ていましたが、直しを入れてもらい、だいぶ緩和されました。
スーツのように肩パッドを入れ、芯地もより厚いものを活用する場合には、心配しなくて良さそうですが、ジャケットだと今後もこの問題は避けられないかもと若干の懸念は残りました。
とはいえ、ボタンを外してしまえば、そこまで気になりませんね。
履き込んできたデニムスラックスの方がシワが気になりますね(笑)
デニムなのでガシガシ履いてきましたが、そろそろアイロン当てようかと思いました。
横から見るとこんな感じです。
日本人らしく肩が前寄りについている私にも問題ない仕上がりになりました。
が、アームホールはもう少し小さくても良かったようにも思います。
袖山には、うっすらとマニカカミーチャというナポリ仕立ての仕様でギャザーを入れました。
アームホールの大きさよりも長めの生地を、縮ませながら縫い付けた結果のギャザーなので、着心地の良さにも繋がっています。
ビジネスシーンでは避ける方もいる仕様ですが、前述の通りジャケパンが認められている職場であれば、まず問題のない仕様で、ナポリの技術の結晶です。
ちなみにナポリの技術詳細については、オーダーを100倍楽しむ!王様の仕立て屋に学ぶ本場のナポリ仕立てをご覧ください。
さて、次に後ろから見るとこんな感じです。
私が猫背ゆえのツキジワが入ってるな〜と感じました。
体型補正で直してもらったものの、残念ながら取り切れはしなかったようです。
後ろ身頃は左側に少し縦ジワがあるので、もう少しだけ絞ってしまっても良かったかも。
さて、もう少し細かいところを見ていきましょう。
襟は前述の通り一枚襟でした。
襟の作りは首の吸い付きに直結する為、アイロンでじっくり人の首の形に合うように曲げる工程が必要です。
一枚襟で仕立てている場合は、そのアイロンワーク工程をしっかり行った贅沢な作りで、首(正確には第7頚椎)に吸い付きも良好。
英国生地のように比較的重めの生地を選んでも重さが分散される為、疲れにくくなります。
まぁ今回私が選んだ生地は300g程度なので全然軽いのですが(笑)、ヘビーウエイトの生地にしても、一般的なテーラーと比べると遥かに軽く感じるはずです。
オーダー時のポイントとファイブワンの位置付け
さて、ファイブワンの標準ラインのオーダー時のポイントをお話します!
公式に標準ラインと名付けられいるわけではありませんが、ハンドメイド工程を加えたハイクオリティ仕様と分けるため、便宜的に標準ラインと呼ぶことにします。
まず、良いスーツとして押さえるべき重要なポイントは①フィッティング、②生地、③仕立ての3つです。
①フィッティングについては、採寸と調整幅に分けられます。
ファイブワンの採寸は丁寧かと思います。しかし、前述の通り、最初の納品時に前身頃が大きく取られ過ぎていることやアームホールが、少し大きすぎたことが気になったので、採寸時のミスも影響しているように感じます。
ただし、テーラーとは数回オーダーを重ねることで、やっと自分に適したサイズが見つかるとも言われますし、正直私はココはあまり気にしていません。次回以降、相談しながら調節していけば良いかなという感覚です。
調整幅はイージーオーダーの範囲ですが、比較的広いように感じます。だからこそ肩パッドや裄綿を抜いてみたり、ダキ取り(アームホールの後ろ側の絞り)を行ったりしている中で、サイズゲージを着ている時には見つからなかった課題が出てきたのではないか?とも思っています(笑)
②生地については、バンチブックから選ぶことになるため、毎シーズン多くのブランドの最新生地を選べます。
が、生地見本のサイズがどうしても小さくなってしまうため、無地やシンプルなストライプのような生地以外、たとえば今回のグレンチェックのような生地だと完成イメージがしづらくなります。
今回のようにフランネル生地であれば、柄が比較的小ぶりになるため、主張が強くなり過ぎずに済むことも多いです。
実際、今回は大成功。満足のいく仕上がりになりました!
一方これがツイード生地になると、柄が大判なことが多く、生地見本よりも仕上がりの主張が強くなりがちなので、注意が必要です。
テーラーの方々でも当初イメージと外すこともあるようなので、一般の我々には言うまでもなく難しいです。
また、バンチブックはテーラー側が生地在庫を抱えずに済む代わりに、都度発注となるため、規模の経済が働かず一回のオーダーあたりの価格が高くなります。
仕上がりのクオリティから考えると、全然抑えている方だと思いますが、それでもスタートプライスは7万からとなっています。
型紙はイージーオーダーですので、既に用意された型紙がベースになります。
しかし、ファイブワンではサヴィル・ロウの型紙作成時の補正を研究し尽くし、CAD入力値を指定しているので、その調整精度は一般的なイージーオーダー工場よりも信頼がおけるでしょう。
型紙のカッティングもイージーオーダーですので、基本的には採寸結果に合わせて規格通りにCAMで機械裁断されます。しかし、今回のような格子柄の場合、正確な柄合わせが必要になるため、手裁断でのカッティングとなります。
縫製はパーツ毎の分業制で、国内各所の工場で縫製されています。
技術で有名になるファクトリーブランドなだけあって、着心地は素晴らしく、柔らかく包まれているような感覚です。
アイロンワークについては、一枚襟を採用していることからも分かる通り、手間をかけており、職人による手作業で実施されています。
副資材も軽く柔らかなものを選ぶことができ、総毛芯をハ刺しで留めているため、全く重さを感じさせない仕立てにすることが可能です。
・・・というわけで、ファイブワンの標準ラインの特徴をまとめると、
かなと思います。
ファイブワンの標準ラインはどんな人向き?
昨今ラルディーニやタリアトーレ、チルコロ等のイタリア系のブランドが人気を博していますが、そういったブランドにも劣らない(というか正直勝ってる)素晴らしい仕立てとなっています。
そういったことを踏まえ、ファイブワンの標準ラインに向いている人を挙げるとすれば、
かなと思います。
メゾフォルテラウンジ(Mezzoforte Lounge)では都内テーラーのみに注力している段階ですが、地方の方々向けに良いテーラーを探す際にも、全国各地に店を構えるファイブワンはオススメできるのではないかと考えています。
今後も、実際に私が袖を通した結果や、仕立てた結果、そして店員と話した経験などを、感覚論に終始せず論理と組み合わせて整理していきますので、少しでも興味を持っていただけたら、是非Feedlyの登録やTwitterのフォロー、noteの応援を宜しくお願いします!