(SPECTRE (C) 2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc., Danjaq, LLC and Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved)
店頭やオンラインでスーツを眺めたり、試着したりするのはもちろん重要ですが、自分が憧れるような一流の人を見つけて真似るのもスーツを着こなしを素早くランクアップさせる手段です。
前回の海外ドラマSUITSのハーヴィーに学ぶ一流のスーツ着こなしとは?に続き、今回は一流のスーツスタイルの代名詞、映画007のジェームズ・ボンドにフォーカスしようと思います。
とはいえ、ここまでスーツで有名な映画ともなると世界各国で「どこのブランドのスーツか」や「どんな着こなしか」がまとめられていますよね?
ブランドは分かった、値段も分かった。でも・・・結局、真似できますか?
最高峰の物を使用するジェームズ・ボンドをそのまま真似しようとすると、相当にお金がないと厳しいですよね。
そこで今回は、ボンドスーツを目指す場合、どこを押さえるべきかをご紹介します。ご自身のオーダーの際に参考にしてみてください!
目次
ここを外したら終わり、の大前提
ボンドスーツを着る上で、というかスーツをカッコよく着る上で本質的に重要な点ですが、「身体に合ったサイズ」のスーツを着用してください。
ここを押さえずして形だけジェームズ・ボンドの真似をしても、端から見るとめちゃくちゃカッコ悪いスタイルになりかねません。
【参考】あなたはなぜ残念なスーツを購入してしまうのか?一流を作るスーツとは
【参考】ぶっちゃけスーツより重要?ワイシャツの効果と購入法攻略
ボンドのスーツについて押さえるべきポイント
(SKYFALL(C)2012 Danjaq,LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved)
ジェームズ・ボンドのスーツスタイルといっても長年に渡り、数々の俳優が演じてきているため、その着こなしには多かれ少なかれ違いがあります。
今回は2020年の作品がラストと言われているダニエル・クレイグ演じる6代目ジェームズ・ボンドの着こなしについて言及しますね。
スーツの基本仕様として押さえるべくは、以下9点です。
- シングルブレステッド
- フロントボタンは、3つボタンの段返り
- ポケットは通常の水平ポケット
- 肩は構築的にビルドアップ
- ラペルはノッチドラペルで、幅は7~7.5cm
- 袖ボタンは、本切羽の4つボタン
- ベントはセンターベント
- パンツはノータックでサイドアジャスター付き
- パンツの裾はダブル
シングルブレステッドなのは、まぁ誰でも見りゃわかるだろ!と言われそうですが(笑)
その他については、意外と考察が難しい部分も。というのも映画で使用されているスーツはトムフォード提供なのですが、一般販売されている007使用スーツと、実際に使用されたスーツではデザインが全く異なる場合があるんです。
さて写真と共に見ていきましょう。
(SPECTRE (C) 2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc., Danjaq, LLC and Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved)
フロントボタンについては、3つボタンの段返りで、ポケットは水平ポケットですね。肩は構築的にビルドアップ。ラペルはノッチドラペルで、幅も7~7.5cm程度とでしょうか?ナローラペルです。
せっかくボンドスーツの特徴に入るものの、実は結構人を選ぶのが、このナローラペル。
身体のガッチリした方や顔の大きい方は、むしろちょっと太めのラペルを用いて、小顔効果や風格の醸成を狙うのですが、顔の小さいダニエル・クレイグは鍛え抜かれた身体にも関わらず、ナローラペルでもバランスを保っています。
ふくよかで顔の大きい方が真似すると、スタイルが悪く見えるので、「コスプレとして着たい!」という要望でもない限りは、この点について完全再現はオススメできません。
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次に袖ボタンですが、「007 スペクター」のワンシーンを見るに4つボタンの本切羽で、一番先のボタンを開けていますね。
さて、この本切羽ですが、なかなか意見の分かれるところ。本当に好きな人なら袖を見えれば本切羽なのか開き見せ(飾りボタン)なのかは見破れます。が、ぶっちゃけ「だから何だ」という所。
そもそもビジネスシーンでは、袖ボタンを外すべきではありません。これは日本限定ではなく、グローバルのプロトコルです。
その上、ファッション業界でない限りは、よほどのスーツ好き以外、本切羽なんて知りません。サイジングのように、知らなくても印象を左右するような箇所ではないので、普通なんのポジティブインパクトも与えません。
スタイルリストを名乗る方でも「スーツの着こなしを格上げするのが、本切羽にした上での袖ボタン外し!」のように語っている場合があるので、本当に注意しましょう。どこまで本気で言ってるのかはわかりませんが、私服のオシャレとビジネスでのスーツは違います。
いろいろ言いましたが、本切羽が本物志向なのは確かです。こうした背景も踏まえつつ、ご自身の判断が必要かと思います。
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ベントは、こちらのシーンを見る限り、センターベントですね。実際にTOM FORDから販売されているデザインでもセンターベントでしたので、問題ないでしょう。
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パンツについては、少し分かりづらいですが、ノータックでサイドアジャスター(尾錠)が付いています。(余談ですが、ショーンコネリーが演じていた時代はツータックで、個人的にはこちらの方が好きです・・・。)
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パンツの裾はダブルになっています。このシーンは敵に捕らえられているので、裾が上にずり上がっていますが、本来、こんなに靴下の見えるような丈ではありません。
たまにオシャレさんで靴下丸見えスーツの方もいらっしゃいますが、ビジネスコードとしてはアウトです。さわやかですが、土日だけにしましょう。
シャツについて押さえるべきポイント
シャツの基本仕様として押さえるべくは、以下5点です。
- レギュラーカラーorタブカラー
- 色は白か淡いブルー(ボタンの色は白)
- 袖はダブルカフス
- ポケットは無し
- 前立ては、表前立て
まずは、ぶっちゃけ作品内でも異なることもありますし、作品ごとに異なる場合もある襟型。たとえば先程まで紹介してきた「007 スペクター」ではレギュラーカラーを着ていましたが、「007 慰めの報酬」、「007 スカイフォール」ではタブカラーのシャツを着ていたことで注目されました。
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タブカラーとは、左右の襟をつなぐ紐が付いているタイプのシャツです。左右の小さな紐にネクタイを通す形で結ぶことで、結び目が裏から持ち上げられ、ネクタイに立体感を出します。顔が小さい方に似合うため、前述の通りダニエル・クレイグにはバッチリ似合います。
色については、白か淡いブルー(サックスブルー)の2択が基本。ボタンの色柄は白です。ジェームズ・ボンドはビジネスシーンでも活用可能なベーシックなモノを着用しています。
シャツの袖は、ダブルカフス仕様になっています。ダブルカフスの場合、カフリンクスで袖を留めることが前提になるので、ご注意を!
ちなみにカフリンクスはビジネスシーンでつけても全く問題ないので(もちろんド派手なものはNGですが・・・)、安心して使ってみましょう。
その他ポケットは無く、前立ては表前立てになっていました。ドレス仕様の裏前立てではないだなあと意外でしたが、劇中のシャツを見ていると表前立てばかりでした。
小物について押さえるべきポイント
靴は作品によって異なり、時計については真似しようとすると青天井で趣旨と逸れるので、ここではブレイシーズ(サスペンダー)とネクタイ、ポケットチーフについて触れますね。
(SPECTRE (C) 2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc., Danjaq, LLC and Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved)
ボンドのスーツスタイルといえば、でもあるブレイシーズ。ブランドではアルバートサーストン等が有名ですね。
しかし、こちらもビジネスシーンではあまり好ましくは取られない場合も。英国由来だからイギリス人は付けてる!みたいな暴論を吐くファッション業界の方もいますが、イギリスの投資銀行のジュニア向けにスーツの着こなしを指南したサイトでは、ブレイシーズについては、明確に付けるべきではないとすら書かれていました(笑)
次にネクタイについてですが、スーツのラペル幅に合わせて、幅の細いナロータイを着用しています。色はダークカラーを採用。ナロータイであってもディンプルを作ることで、ジェームズ・ボンドのスタイルに昇華されます。
ただし、ナロータイはモードな雰囲気があり、日本のビジネスシーンで必ずしも受け入れられているわけではない為、大事な商談等で使うのは避けましょう!
最後にポケットチーフ。もうお気づきかもしれませんが、ジェームズ・ボンドの胸ポケットには、ポケットチーフがTVフォールドで収まっています。
【参考】動画で理解!正しく華やぐポケットチーフの折り方と活用法
必ずしもビジネスには向かない
ここまで読んでいただいた方は、すでにお気づきでしょうが、ジェームズ・ボンドのスーツの着こなしは、必ずしもビジネスシーンに適したものではありません。
根強いファンが多いのも事実ですが、自分の環境を勘案した上で、どこまでテイストを加味するか、どういったシーンで着用するかは判断しましょう!
今後も、映画の着こなしだけでなく、実際に私が袖を通した結果や、仕立てた結果、そして店員と話した経験などを、感覚論に終始せず論理と組み合わせて整理していきますので、少しでも興味を持っていただけたら、是非Feedlyの登録やTwitterのフォロー、noteの応援を宜しくお願いします!