先日、外資コンサル時代の同期から「銀座あたりでジャケパンが欲しい」という要望があった為、お買い物に同行し、オススメのテーラー・ブランドツアーを実施しました!
元々仲が良い相手なので、単純に友人との買い物とも言えるのですが(笑)
とはいえ、こちらも本気です。
これまでMezzoforte Loungeで様々なテーラーやブランドを紹介してきた経験を活かして、行く店やその順番を整理しました。
そして結果的には「正直スーツ代はコストとしか思ってない」と言っていた同期が、仕立ての良さを重視し、「仕上がりが楽しみでしかない!」というまでに!
・・・嬉しすぎる!!
趣味で運営している当メディアですが、こうやって誰かの良い意思決定の一助になれると、やりがいがありますね!
大成功に終わったこともあり、今回銀座でオススメしたルートを、いつもお世話になっているMezzoforte Loungeの読者の方にもご紹介したいと思います!
目次
要望は「予算3万」と「銀座」
どんなに安くても数万はする買い物になるので、まずは簡単にヒアリング。
とのことでした。
加えて、現在持っているスーツやジャケパンの数や色柄についても確認したところ、オーダースーツ1着と、既製品スーツ2着、そしてユニクロで揃えたジャケパン2着とのことでした。
オーダースーツを1着持っているので、割とすんなり好み等も決まるかなと思いきや、前回のオーダーは、奥さんの家族のご厚意で、薦められるがままにオーダーした為、正直、自分自身はよく分かっていないとのこと。
さらには、「スーツやジャケットは着なきゃいけないから着るけど、基本的にはコストとしか思っていない」という意見も貰いました(笑)
実際こういう考えの方は少なくないと思いますし、私も元々はそういう考えでしたので、凄く良く分かります。
提案の方向性
さて、ジャケットをコストとしか考えていない相手に、予算3万で銀座でオススメするジャケットですが、もしストレートに要望に応えるならTHE SUIT COMPANYの既製品を紹介して終わりです。
・・・が、これだと友人にとってスーツやジャケットは永遠にコストですし、今後オーダーしようと思った時にも「安く作れる」や「速く仕上がる」という事が解になってしまうな、と。
同じ価格でもっと良いものを仕立ててくれるところがあるのに、それを知らないままに意思決定し、高いお金を払うなんて不幸じゃないですか。
嫌なんですよね、そういうの。
なので、まずは予算を無視して「本当にいいもの」を着てみた上で、「価格や着心地の妥協点を自分で決める」というプロセスを踏んだ方がいいと判断しました。
その上で組み立てたのが、今回のMezzoforte Lounge流 銀座の黄金ルートです!
むしろ3万台なのにイタリアのブランド生地を使用する等、他ではなかなかできない大手の強みを活かしてスーツ・ジャケットを提供しています。
THE SUIT COMPANYが良いのは前提としつつも、その良さを更に上回るテーラー・ブランドをご紹介する、というのが趣旨です。
Mezzoforte Lounge流 銀座の黄金ルート
さて、「本当にいいもの」とは言ったものの、今回の友人はもちろん、大半の人にとって銀座のフルオーダーというのは現実的な解ではないと思っています。
よっぽど裕福であるか、服好きかでない限り、20万や30万をホイホイと払うのは困難ですし、バカバカしく感じる方が一般的でしょう。
また、フルオーダーになるとゲージサンプルでサイズを合わせる、ということをしないので、イメージが湧きづらいんですよね。
そういったことを踏まえた上で、パターンオーダー・イージーオーダーの中で最もオススメの店からスタートし、妥協点を探すことに決めました。
その上で組んだルートがこちら。
- zerbino 銀座店
- global style 銀座店
- HANABISHI 銀座店
- 松屋銀座 アトリエメイド
- BEAMS 銀座店
- 銀座six ring jacket
- テーラーフクオカ 銀座店
詳しくは後述しますが、これらすべてがオススメというわけではありませんので、そこにはご留意ください。
銀座の北部(銀座1丁目)から南部(銀座8丁目)まで、だんだんと南下していきながら、検討するルートになっています。
前述の通り、すべての店がオススメというわけではありませんが、ご自身が「ココだ!」と思ったタイミングで購入してよいと思います。
一応、北から南というだけでなく、ストーリーを以て組んだルートですので、この先を読んだ上で、実際に自分が買う時にどうするかを検討頂ければと思います。
Zerbino 銀座店
(出典:https://www.zerbino.info/concept/)
さて、まず初めにご紹介するのは、Zerbino銀座店です。
ココを最初に持ってきたのは、「本当にいいもの」を体感するのに最も適していると考えているからです。
正直zerbinoでジャケットとパンツ両方で3万台に押さえるのは不可能ですが、まずは自分の中で良さの基準を持つことが重要です。
私もいろいろなお店に足を運んで袖を通してきましたが、今のところZerbinoを超えるところは正直ありません。(そりゃ、20万オーバーとかで探せば、あるでしょうが)
【レビュー】他のジャケットはもう不要?ZERBINOでLux lineをオーダーしてみたでも、めちゃくちゃ推してるので、ステマかと思われるかもしれませんが、違います(笑)
私の友人には以下、全てのサンプルに袖を通してもらいました。
サンプルに袖を通した時には、軽く腕を回すように動かしてもらうと違いがわかりやすい旨を伝えたところ、Custom Lineの時点から既に良さを実感していたようでした。
まあ、正直Custom Lineの時点で良さがわかるかは、普段着ているジャケットの仕立てのレベルにも依るとは思います。
以前、百貨店フルオーダーも経験のある他の友人にZerbinoを紹介した際、Custom Lineでは、まずまずといった反応だったので。
とはいえ、一般的にはCustom Lineでも充分良い仕立てではあるのは間違いないので、価格を踏まえ、こちらを購入しても後悔はしないでしょう。
次にLuxury Lineに袖を通した友人は、大きく反応が変わります。
「あ、全然違う・・・!本当に全然違うわ」
だんだんと笑みがこぼれてきて、「欲しい」という言葉が出てくるようになります。
ジャケットをコストとしか考えていなかった友人の価値観が大きく覆った瞬間です。
最後にNapoli Lineに袖を通してもらいました。
Napoli Lineはスーツ28万~、ジャケットでも20万はするので、飽くまで良いものを知るために。
「もはや、このまま着て帰りたいな(笑)このまま寝れる」
・・・ダメです(笑)でも、これで良さの基準がしっかり身に付いたはず!
とはいえ、さすがに1店目で決めるのもアレなので、まだいい物が何かを一旦体感することが目的で、他の店舗も見たい旨をフィッターの方にお伝えし、退散。
正直、Zerbinoでドハマりしていたので、買ってしまっても全く後悔しないと思いましたが、一応予算オーバーなので、もっとお手頃なジャケットを着た上で本人がどういう決断をするか見ようかと・・・!
ちなみにzerbinoでどのようなオーダーができるか気になる方は、圧倒的技術で着心地抜群!仕様と価格から見たゼルビーノのオーダースーツ考察をご覧ください。
私が実際にオーダーした結果も
にまとめていますので、どうぞ!
Global Style 銀座店
(出典:https://www.global-style.jp/)
次に足を運んだのが、Global Style 銀座店です。
ちょうどジャケパン合わせて4万円というフェアが開催されており、予算1万オーバーとはいえお手頃価格で両方手に入るという予算的な魅力が大きい状況だったので。
どちらかというと、良さの基準を持った上で、「それでも予算やお手頃感にこだわるか?」という点を見るためのセレクトです。
もちろん、Global Styleの仕立てが悪いというわけではありませんが、仕立ての良さに強みを持っているテーラーではないことは留意すべきでしょう。
2着まとめてオーダーすると、ゼニア等の高級ブランド生地を比較的お手頃に手に入れることができるので、いい生地のスーツを着ている!という満足感は得られますし、量販店の既製品と比べると、着心地も良くなります。
【レビュー】グローバルスタイルでSUITSのハーヴィー系スーツをオーダーしてみた感想でも紹介している通り、実際、私もオーダーしていますしね!
そんなGlobal Styleでサンプルゲージを着て、友人がどんな反応をするのか・・・!
・・・と、ここで問題発生。
店が混み過ぎていて、サンプルゲージを着ている場合じゃなかったんです。
仕方なく、他の店舗で試すことに・・・笑
ちなみにGlobal Styleでどのようなオーダーができるか気になる方は、それでもグローバルスタイルのオーダースーツが欲しいですか?仕様と価格から見た考察をご覧ください。
HANABISHI 銀座店
(出典:https://www.hanabishi-housei.co.jp/brand/)
Global Styleの代わりに足を運んだのが、HANABISHI 銀座店。
国内縫製にこだわっている実力派と紹介されることも多く、期待が寄せられます。
ジャケット用にイタリアンモデルのゲージサンプルに袖を通した友人の反応は・・・
「・・・なるほど。」
それだけでした。
ああ、コレじゃないんだろうなというのを感じつつ、またこのままフィッターに「やっぱいいです」ともいいづらそうな雰囲気もあったので、切り上げることに。
お店を出た友人曰く「悪くはないと思うんだ。最初にこの店に来てたら、こういうものとして買って満足してたと思う。けどZerbinoのLuxury LineとかNapoli Lineとか着ちゃうと、やっぱり違うなって感じた。」とのこと。
そうなんですよね。他が悪いというよりはZerbinoがなんかオカシイぐらいに着心地いいだけなんだと私も思ってます。笑
ちなみにHANABISHIでどのようなオーダーができるか気になる方は、完全国内縫製の老舗!HANABISHIでのオーダースーツ攻略をご覧ください。
松屋銀座 アトリエメイド
(出典:https://www.facebook.com/ ateliermade2015/)
さてさて、時間が経つにつれて良いものの感覚も薄れてしまうので、今度はまたこだわりの1着を着た方がいいと思い、松屋銀座のアトリエメイドへ。
ここは1人の職人がハンドメイドで仕立てた丸縫いスーツが、売られているんです。
既製品にはなるものの、有名バイヤー宮崎俊一氏のこだわりが詰まっているので、ぜひ袖を通してみて欲しいな、と。
サイズがA体しかなく、恐らくY体が適正サイズの友人には少しゆったりしたシルエットになってしまうものの、「説明はできないけど、なんか着心地が良いのは分かる」との感想。
・・・それで充分です!
ただ、さすがに9万とかになってしまうので、ここは価格的にさすがにNG。
ちなみにアトリエメイドでどのような既製品があるか、どのようなオーダーができるか気になる方は、将来ヴィンテージとして誇れる1着を!アトリエメイドでのスーツ購入攻略をご覧ください。
BEAMS 銀座店
(出典:https://www.beams.co.jp/shop/gnz/)
今度は同じ既製品でも、たとえば有名イタリアブランド等のように、一見良さげに見えてしまうものを、うっかり高値掴みしないようにBEAMSへ。
LARDINI等のようにアンコンになっていると、副資材を抜いているので物理的に軽く、着心地も良く感じると思います。
・・・が、先に良さの基準を持っておいたからか「軽い!着た瞬間の着心地はたしかに良いように感じるわ。けどちょっと違うね」というのが友人の感想。
よくいる港区おじさんになることは回避されました(笑)
それにLARDINI等のイタリアブランドだと10万は超えてきますから、予算的にもアウトですね。
デザインがカッコよくて着るなら賛同しますが、着心地と価格どちらで見ても違うかなと思います。
特にイタリアブランドを着ているという既成事実が欲しいだけで買うのはバカバカしいというのが個人的な感想です。
どうせならBEAMSが独自に展開するオーダースーツの方が、仕立てにこだわりもあって絶対に良いと思います!
・・・が、こちらも友人的にはちょっと違ったようなので、今回はBEAMSは見送ることに。
ring jacket 銀座Six店
(出典:http://www.ringjacket.co.jp/ring-blog/)
今度は日本が誇る至高のブランドであるring jacketにチャレンジ。
店員の方も試着した時点ですかさず友人の体型の特徴を指摘し、どのように調整すべきかを説明して頂けました。
「めちゃくちゃ着心地いいな、これ」
という友人の感想がありつつも、ring jacketとなると10万は超えてくるので、さすがに予算的にNG
ただ、「いつかring jacketのは買ってみたい!」と言っていたので、やはり着心地の良さは実感できたようです。
私自身ring jacketはオーダーしてみようと思っているので、そのうちMezzoforte Loungeでもオーダー結果を紹介したいと思います!
ちなみにring jacketでどのようなオーダーができるか気になる方は、最強の既製服!リングヂャケットでのオーダースーツ攻略をご覧ください。
テーラーフクオカ 銀座店
(出典:https://www.tailor-fukuoka.com/shop/)
銀座もいよいよ南端まで来ました!
最初に「本当に良いもの」の基準を持ったことで、同じような価格帯でも着心地に落差があることを知り、そして逆に同じかそれ以上の着心地を求めれるといかに値段が高くなるかを知りました。
ここまで来ると、もうZerbinoに戻るか、着心地を多少妥協して、ちょうどよい価格に留めるかになると想定し、最後に持ってきたのがテーラーフクオカです。
前述の通りZerbinoではLuxury Line / Napoli Lineという上位の仕立てランクがありますが、テーラーフクオカでもプレステージラインという上位の仕立てランクがあります。
ジャケットで比較した場合、ZerbinoのLuxury Lineは生地価格から+¥30,000になるのに対し、テーラーフクオカのプレステージラインは+¥15,000とお得。
個人的な着心地としては、やはりZerbinoのLuxury Lineの方が勝るかなと思いつつも、テーラーフクオカのプレステージラインもこだわりのラインなのは間違いありません。
さあ、どうする友人!?
「悩むな。ZerbinoのLuxury Lineかテーラーフクオカのプレステージラインなんだよなあ」
・・・やはり!!笑
急いで決めるものでもないので、一旦、ゆっくりランチ休憩をはさみ、最終的にテーラーフクオカのプレステージラインに決定!
生地選びが始まるわけですが、当日私が着用していたZerbinoのジャケット生地と着心地が気に入っていた友人が、フィッターへ一言
「これと同じのないですか?笑」
実はzerbinoとテーラーフクオカは系列店なので、生地ストックとしては同じもの多いんですが、さすがにありませんでした(笑)
それではと、春夏用ジャケットということで冷涼感のあるリネン(麻)の生地から探し始め、ジャケパンとして合わせやすい無地ネイビーのものを選択!
プレステージラインで+¥15,000となり、最終的な価格は¥54,000!
・・・そう、自ら望んで予算オーバーを選んだんです!
「スーツやジャケットはコストだとしか思ってなかったけど、今日一日でジャケット選びが楽しいってことが分かったし、なによりオーダーしたジャケットの受け取りが楽しみで仕方ない!」
という100点感想も貰えました(笑)
さすがにパンツをオーダーするのは、予算的に控えることになりましたが、
「次はZerbinoのLuxury Lineを仕立ててみたい!」
と言っていたのが印象的でした。
嘘くさくなるレベルの大変革で私自身ビックリしました!笑
【番外編】ジャケパンに合う靴探し @阪急メンズ東京
(出典:http://www.hankyu-dept.co.jp/mens-tokyo/)
これは番外編ですが、実はジャケパンに合う靴も見に行きました。
「これまで1万円代の靴を履きつぶすような形だったけど、ジャケットを良くすると靴もちゃんとしたいと思った」とのこと。
これは私も同じ経験をしているのでよくわかります。
ちなみに革靴については3万以上とそれ以下では、割と明確に革の質が異なるのが実情です。
とはいえ、いきなり5万オーバーの靴を購入するのもアレなので、まずは3万円台の靴でいかに良質なものを選ぶかにフォーカスすると良いでしょう。
今回は革靴メインでないので、詳細は別途ご紹介しますが、3万円台でコスパの良い革靴ブランドを3つ程挙げておきます。
このあたりであれば、革の質も良く、グッドイヤーウェルト製法を採用する等作りにもこだわっているので、安心して長期間履き込むことができます。
5万オーバーの靴でないと、バカにする輩もいますが、基本的に無視で良いでしょう。
3万台でも良質な革靴をしっかりと磨いてあげれば、長く使うことができます!
ちなみに靴磨きについては、【企画】靴磨き世界大会王者の長谷川裕也氏に学ぶ靴磨きとその効用でもご紹介していますが、靴磨き芸人の奥野奏氏のYouTubeなんかを見ると、3万台の靴でも磨き込んで大切にしたいなと思えるので、オススメです。
最後に
今回は銀座の黄金ルートということで、本当にオススメしたい歩き方をご紹介しました。
私はスタイリストで生計を立てているわけでもないので、すべての人に同行してアドバイスできるわけではありません。
が、こちらを参考に、Mezzoforte Loungeの読者の皆さんがより良いスーツやジャケットを手に入れるキッカケになれば嬉しいです!
くだらない商品を高値掴みしたり、着なきゃいけないからスーツやジャケットを嫌々着るなんて、もう止めましょう!
それでは、また機会があれば別の街で黄金ルートをご紹介したいと思います!
今後も、実際に私が袖を通した結果や、仕立てた結果、そして店員と話した経験などを、感覚論に終始せず論理と組み合わせて整理していきますので、少しでも興味を持っていただけたら、是非Feedlyの登録やTwitterのフォロー、noteの応援を宜しくお願いします!