激推し英国系テーラー!Bespokeman(ビスポークマン)でのオーダースーツ仕様と考察


(出典:http://bespokeman.jp/)
お問い合わせやTwitterのDMで「どんな感じか知りたい!」と複数ご要望いただいていたBespokeman(ビスポークマン)に行ってきました。

ご要望くださった皆さん、ありがとうございました!大満足でしたので、ご紹介しますね!!

実際に仕上がったスーツについては、【レビュー】サヨナラ実用性。Bespokemanでソラーロスーツをオーダーしてみた感想をご覧ください。

目次

英国ビスポークテーラーで修行した金子勝氏


(出典:http://bespokeman.jp/)
Bespokemanは、英国Meyer & Mortimer(メイヤー&モーティマー)で勤務されていた経験もある金子勝氏が営むテーラー。

最初このお店を知った時には、サヴィルロウでの経験を謡い奇抜さを推し出している某氏のような方だったら嫌だなと思い、実は避けていました。同氏については、同業者からはあの渡英期間では、縫子以上すら出来たのか疑われてますしね・・・。

そんなわけで、失礼ながら半信半疑でお店に伺ったものの、実際に金子氏に英国での勤務期間中のお話を伺ったところ、某氏とは違いしっかりとご経験を積まれていそうだなと考え、オーダーに至りました!

渡英までに駅前留学で5年もかけて英語力を上げた話、IELTSスコアの話(笑)、英国London College of Fashion紳士服コースに通いながら、サヴィルロウのテーラーへ履歴書を持って回り、門前払いをくらい続けた話、運よくメイヤー&モーティマーで修行できるようになった話、最初は縫製を学ぶ生徒として週一だけくるように言われてたのに、勝手に他の曜日にも行くようになり、最終的にはアシスタントカッターとして働けるようになった話・・・。

そのすべてが努力と生々しさに溢れていて、非常に感銘を受けました。Kenjiro Suzukiの鈴木健次郎さんの自伝を読んだ時と似た感覚です。

やはりロンドンの名門テーラーには、欧州から大勢の方が修行を希望して押しかけているようで、そう簡単に履歴書を受け取ってもくれないのが実情と聞き、改めて某氏への疑念が強まりましたが、まぁそれは置いておきましょう・・・笑

オーダーの分類は「フルオーダー」および「パターンオーダー」


ビスポークテーラーですので、「フルオーダー」がメインかと思いきや、「パターンオーダー」も提供しています。

フルオーダーに関しては、採寸から型紙作成、裁断、縫製とすべてを金子氏がハンドメイドで仕立てる本当のビスポークとなります。

型紙についても、金子氏が修行してきたこともあり、英国サヴィルロウ等の名門ビスポークテーラーの仕立て方とのこと。

日本で作られている、いわゆる英国風の型紙は、飽くまで「型紙の引き方を学ぶ際に教科書として用いる裁断書にある原型」に「英国テイストを足す」ことで仕上げているため、やはり本場のものとは顔つきが変わるそうです。仕付け糸の打ち方も異なるとのこと。

一方、メイド・トゥ・メジャー(パターンオーダー)についても、非常に特徴的。もちろん、原型は工場で仕立てるのでマシンメイドとなるのですが、型紙を引いているのはもちろん金子氏自身。

さらに工場で仕上がったものを客がフィッティングした後、襟と袖を金子氏が付け直すという贅沢仕様なんです。しかも気になる点があれば再度、金子氏が手直しが入ります。

正直、その辺のフルオーダーと偽ったイージーオーダーの仮縫いなんかより、はるかに直しが効きます。ご自身で手縫いが可能なだけあって、身体のクセへの対処法もすぐイメージできるのが大きいんですね。

ゲージ服を使用しないので、心配になる方もいるかもしれませんが、ビスポークが出来る方だからこそ信頼して採寸を任せられますし、なんなら工場生産後のフィッティング時点である程度直せます。

パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーの違いや詳細が気になる方は、仮縫いの有無は無関係!もう騙されないパターン/イージー/フルオーダーの分類にまとめましたので、是非ご覧ください。

Bespokemanの仕立ての種類とハウススタイル

Bespokemanでは前述のとおり、ビスポークとメイド・トゥ・メジャーの2種類の仕立てが用意されています。

いずれについても英国ビスポークの型紙をベースとした「English Cut」です。

構築的で傍から見るとかっちりして見えますが、着心地はかなり柔らか!いわゆるガチガチの鎧のようなイメージで羽織ってみると不思議な感覚を覚えるソフトテーラリングです。

とはいえ、これは飽くまで基本。顧客の要望に合わせるため、必ずしもBespokemanっぽさの押し付けはしないようにしているとのことでした。

ただし、マニカカミーチャはやらないそう。縫えないことはないものの、イタリア的技術への敬意を表し、英国を謳う自分がやるべきではないという考えのようです。

・・・まぁ、私を含め顧客の多くはその英国らしさを求めて足を運ぶので、全く問題ございません(笑)

英国ものが中心となる生地


(出典:http://bespokeman.jp/)
生地については、基本的にはバンチブックから選ぶことになり、本当に一部だけ現物生地でストックが置かれています。

ビスポーク価格は適宜、直接確認いただきたいのですが、メイドトゥメジャーですと、以下の価格となっておりました。

  • Harrisons of Edinburgh ¥100,000
  • CANONICO 4PLY ¥128,000
  • Smith Woollens BOTANY ¥138,000
  • William Halstead SOLARO ¥138,000
  • Holland & sherry Intercity ¥138,000
  • LEAR BROWNE & DUNSFORD Oyster ¥145,000
  • Hardy Minnis 145,000~
  • Smith Woollens SOLARO ¥158,000
  • Foxbrothers ¥160,000~

その他にもWAIN SHIELL、Porter & Harding、Taylor & Lodge、一部Scabal等も取り扱っています。

やはり英国生地がほとんどで、CANONICOも4PLY、SCABALもBigben等の落ち着いた柄のものです。

格子柄の場合、柄合わせのため、生地用尺長くなる他、工場で手裁断が必要となり、+¥5,000となります。

ちなみにHolland & sherryなんかは、生地原価が高すぎることもあり、メイド・トゥ・メジャーだと選択肢は少な目ですが、ビスポーク専用として多くのラインを揃えているそうです。

Bespokemanのカスタマイズ概要

ビスポークは書くまでもないので、メイド・トゥ・メジャーの方について。

袖ボタンは並びつけも重ねつけも対応頂けます。本切羽の場合は、+¥2,500となります。

ポケットは、ノーマル、スラント、パッチポケットから選ぶことができます。チェンジポケットは+¥1,500となります。

ベントはセンターベントやサイドベンツが選択可能、おそらくノーベントも対応可能です。

裏地は総裏だけでなく背抜きも選ぶことができるでしょうが、こちらでオーダーされる方はおそらく多くの場合総裏なのではないかと思います。

裏地の素材に関してはキュプラが標準仕様となっており、英国製の裏地だと¥5,000〜10,000となります。いずれも厚手なので、日本の夏にはしんどいのではないかと思います。あとシンプルに派手なので個人的には好みではありませんでした。

ボタンに関しては、プラスチックボタンが標準となり、本水牛ボタン等は+¥3,000となります。ここだけは残念。

サイド尾錠はもともとアップチャージだったとのことですが、最近標準仕様となったそうです。これは嬉しい。

スリーピースにする場合の価格は、選択した生地によって異なるそうです。

納期については2ヵ月程度とのことです。こちらフィッティングから何度直しを入れるかによって前後します。

Bespokemanの仕様

オーダースーツはサイジング命で、見た目的にはサイズが合っていればカッコよくは見えます。

が、着ている本人の着心地はサイズとは別に、スーツの仕立てられ方、仕様に影響を受けます。具体的には襟と袖の仕様がスーツの着心地を左右します。

襟はしっかりとアイロンワークを施して生地を首の形合わせて捻じ曲げることで、ジャケットを着た際の体圧を分散し、疲れにくく仕立てた「一枚襟」と、そういった作業をスキップして簡易的に立体感を作り出す「二枚襟」という仕様があります。

Bespokemanでは、一枚襟を採用しており、さらに顧客への首の吸い付きが悪い場合には、金子氏が襟を外して付け直す作業も行います。

袖については、肩の付き方やいせ量などが重要。前身頃に対して後身頃側の生地を多めに使い、それらをいせ込んで縫い合わせることで、可動域を担保しているわけですが、見るより着てみるのが一番。

フィッティングのタイミングでは、普通より良い程度かなという感覚でしたが、肩をさらに内側に入れ込んでもらい、袖の付け方にも、金子氏に付け直していただきました結果、着心地はかなり良好!!

ちなみに袖付け自体はミシンでやっているものの、最後の「閉じ」という工程は金子氏自身で手縫いされており、肩回りの着心地が柔らかくなっています。

副資材についても、当然毛芯を採用しており、接着は一切貼っていません。百貨店のオーダーを中心にフル毛芯と謡いながらも、毛芯と生地を接着してしまうところも多いので、そういったことを避けられる安心感もあります。

肩パッドについては、メイド・トゥ・メジャーであっても、顧客の身体に合わせ金子氏がハンドメイドで作ってくださるので、私のように前肩が強めな人間でも着心地を損なわずに構築的なシルエットを楽しむことができます。

いやー、多くのテーラーが微妙な着心地な中、久しぶりに嬉しい驚きのあるテーラーを見つけた気がします。

「俺評価。」は?


ずばり、「イチオシ」~「良し」としました。
※俺評価。 はパターンオーダー・イージーオーダーのみを対象としているので、ビスポーク(フルオーダー)については、この枠組みに当て嵌まりません。

評価方法の詳細については9割の人はテーラー選択ミス?「俺評価。」はじめましたをご覧ください!

「良し」となった理由もメソドロジー上、15万円を超えると少し手を出しづらくなるからであって、着心地は「高」。予算さえ問題なければ私としては強くお薦めしたいテーラーの一つです。

ただし、

  • 生地が英国でありスタイルも英国的であること
  • 予約制での対応であること
  • 派手生地やフラワーホール・袖ボタンの色を変えちゃうようなチャラチャラ系向けではないこと

等を踏まえると、基本的には「上級者向けのテーラー」という理解で良いかと思います。

まぁ、そもそもフラワーホールや袖ボタンの色を変えることをお薦めしてきて「これこそオーダー!」と語るようなテーラーは、基本的に大したスーツを作っていないので、オススメできないんですけどね・・・笑

蛇足ですが、同じ英国系に強いメイド・トゥ・メジャーでも、以前ご紹介したバタクより遥かに良かったです。

今後も継続的にオーダーしたいと思いましたし、少し先にはなりそうですが私の初ビスポークもココになる予定です。(銀座SAKAEYAはフルオーダーではないという判断のもと、初ビスポークと表現しています。)

メイド・トゥ・メジャーでは珍しいオーダーの手順

メイド・トゥ・メジャーであっても仮縫いに近い工程を挟みます。
初回来店
オーダーしたいもののイメージを伝え、生地決めと採寸
※前述の通りゲージ服は使いません。

2回目来店(約1ヵ月後)
工場から仕上がってきたものをフィッティング。実際に着てみて出たシワを確認し、金子氏がチョークを入れていきます。

立ち姿でのシルエットの綺麗さだけでなく、普段よく取る姿勢での着心地についても確認することをオススメします。実際私も、立ち姿以上に、座ってPC作業する際の着心地を担保できるように相談しました。

3回目来店(約1週間後)
金子氏が手直ししたものを再度フィッティング。ここで問題なければ納品です。

さらに気になるところがあれば、再調整となります。この後n回目がどこまでいくのかは私も分かりません・・・(笑)

少なくとも私はこの3回目で満足したので、納品となりました。

住所は銀座、最寄りは新富町のBespokeman

Bespokemanはなかなか分かりづらい場所にありますが、新富町駅の1番出口から歩いた方が遥かにラクです。というか銀座側から歩くと大通り挟むので結構面倒・・・(笑)

所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座2-14-5 三光ビル 2F

オーダーに向けた事前準備

こちらはオプショナルですが、一流のビジネスパーソンとして、適切にスーツを着こなすための情報を以下にまとめましたので、ぜひご覧ください!

そもそも論理的に一流のスーツスタイルとは・・・
え、まだセンスに頼ってるの?論理で再現できるスーツの着こなし

身体に合ったスーツとは・・・
あなたはなぜ残念なスーツを購入してしまうのか?一流を作るスーツとは

差がつくポイントは・・・
なぜあの人はカッコいいのか?差がつくスーツ・ジャケットのポイント

生地を選ぶ際のポイントや特徴は・・・
素材・柄からイギリス・イタリア生地まで!スーツ生地の特徴と違い

パンツの裾上げの対処法は・・・
知らないのに結局聞かれる…パンツの仕上げの種類と対処法

販売員と上手くやり取りを行う方法は・・・
うんちく不要!販売員の知識を「運用」したスーツ購入法とは?

スーツの着こなす上で最低限押さえるべきことは・・・
意外と知らない?スーツを着る上での基本

今後も、実際に私が袖を通した結果や、仕立てた結果、そして店員と話した経験などを、感覚論に終始せず論理と組み合わせて整理していきますので、少しでも興味を持っていただけたら、是非Feedlyの登録Twitterのフォローnoteの応援を宜しくお願いします!