(出典:http://dittos.jp/)
オーダースーツ戦国時代とも呼べる昨今、Mezzoforte Loungeを運営する中で、通算50店舗ほどのテーラーを見てきましたが、正直その大半はたいした着心地ではなく、ただ採寸結果に基づきそれらしいスーツを提供しているに過ぎませんでした。
そんなオーダースーツ店とは一線を画するテーラーがDittosです。
Brioni銀座本店でマスターテーラーを担っていた水落卓宏氏によるビスポークテーラリングを主としていますが、水落氏が型紙を引き、工場に縫製を指導することで実現したイージーオーダーも提供しています。
ビスポークの凄さは勿論ですが、イージーオーダーに関しても間違いなく日本最高峰と言えるでしょう。
今回はそんなDittosについてご紹介します!
目次
オーダーの分類は「フルオーダー」および「イージーオーダー」
前述の通りDottosでのオーダーは、フルオーダーとイージーオーダーに分類されます。
フルオーダーに関しては、採寸から型紙作成、裁断、縫製とすべてを水落氏がハンドメイドで仕立てる本当のビスポークとなります。
ビスポークテーラーでも、縫製については工場に外注することが多い中、Dittosでは水落氏が対応しているため、採寸した結果、着手の体型のクセを理解した型紙作成が可能になります。
また、個々の体型を上手く補う型紙を作成すると、縫製工場などでは対応できないレベルの高い型紙が仕上がるのですが、そんな時にも水落氏自身が仕立てていることで、難なく仕立て上げることができるわけです。
そういった意味で一切の妥協のない一着を求める方は間違いなくビスポークを選択すべきでしょう。
しかし、ビスポークとなると料金も¥400,000~と非常に高額になります。
そこでもう少しお手頃にDittosの素晴らしさを味わえるのがハウススタイルオーダーと呼ばれるイージーオーダーです。
こちらは以前ご紹介したbatak同様、ビスポークから技術の階段を降りていく形で型紙を引いて出来上がっているので、本来、縫製工場が仕立てやすいレベルで作られたイージーオーダー用の型紙とは明らかに差のある仕上がりになります。
また、大半のイージーオーダーでは、採寸結果CADに入力して型紙を作成するわけですが、その際に「なで肩レベル1」や「反身レベル3」のように一定の範囲で調整をかけています。
しかし、どこまでいってもレベル分けした範囲でしか設定できないので±いくつという限界はありますし、完全に身体に合わせるのは不可能です。
それに対してDittosのハウススタイルオーダーはイージーオーダーと言いながらも、ゲージサンプルを着た客の体型を見て気になった点を際限なく修正できるようにしているそうです。
もちろんビスポークと異なり、ハウススタイルオーダーでは縫製を花菱縫製外部工場に委託しているので、際限なくとは言っても型紙に反映させるには技術的な限界もあるでしょう。
ただし縫製工場の技術的限界というのは、縫製を外注している他のフルオーダーテーラーにも言えることです。
つまり、他の多くの店がフルオーダーと謳うレベルを、水落氏はイージーオーダーと呼んでいるわけです。
・・・なんということでしょう(笑)
ちなみに一般的にはフルオーダーと呼んでも差し支えないレベルのハウススタイルオーダーですが、水落氏からすればビスポークとは大人と子供ぐらいのレベル差があるとのことでした。
さて、イージーオーダーやらフルオーダーやら語りましたが、なんのこっちゃという方向けには、徹底解説!オーダースーツの基本と種類。おまけで嫌な店員実態も…!というまとめを用意していますので、是非ご覧ください。
Dittosの仕立ての種類とハウススタイル
(出典:http://dittos.jp/)
Dittosでは前述のとおり、ビスポークとハウススタイルオーダーの2種類の仕立てが用意されています。
ハウススタイルオーダーは基本的にマシンメイドですが、+¥20,000で袖付けや襟付けをハンドメイドにすることが可能です。
ハウススタイルですが、ボタン位置やゴージの高さ、幅など基本的になんでもできるものの、基本的にショルダーデザインは、いせ込みによる立体感をキレイに処理した結果であるロープドショルダーになるようです。
実際、ブログを拝見していても、ボタン位置が高くどクラシックとも言えるスタイルが多いように感じますが、まぁこのレベルのテーラーになったら一定の要望は伝えつつもお任せが良いでしょう。
普段あまり触れませんが、パンツの仕立てについてもDittosでは気合の入れ方が違います。
ハウススタイルオーダーであっても、なんと一品一品すべて水落氏がプレスしてS字に湾曲させることで、圧倒的な履き心地を実現しているんです。
縫製前の生地の段階からプレスでS字に曲げるビスポークは、たとえるならパーマのようにプレスによる湾曲が落ちないのですが、縫製後の検品の段階でプレスをかける場合はヘアアイロンとブローのように時間の経過と共に湾曲が落ちていってしまいます。
それでもこのプレスの有無は履き心地に大きく影響しますので、着心地の良いスーツを知っている方には絶対に欠かせない工程だと言えるでしょう。
また、生地については現物およびバンチブックから選ぶことができますので、かなり幅広い選択肢を持ってオーダーできるでしょう。ただし、英国物が中心で現代で主流のイタリア物のテロテロな生地は、なかなかありません。
これは、水落氏自身の嗜好もあるでしょうし、そもそも仕立てが良いので固く重い生地でも、着心地は損なわれないので、心配は無用です。通好みのレアなヴィンテージ生地等も取り扱っているので、個人的には非常にワクワクするラインナップです。
ハウススタイルオーダーでもブランド生地で仕立てる場合には18~60万程度になるため、ある程度の予算は確保しておく必要があります。(むしろスタートプライスは過去10年で数人しか頼まれていないとのこと。)
Dittosのカスタマイズ概要
(出典:http://dittos.jp/)
ビスポークはもちろん、ハウススタイルオーダーについても、ほぼなんでもできますと言ってしまえばそれまでなのですが(笑)、他店との比較のためにも念のため書いておきますね。
袖ボタンは並びつけも重ねつけも対応頂けますし、全て本切羽になっています。
ポケットは、ノーマル、スラントだけでなく、パッチポケットやチェンジポケットも対応頂けます。
ベントはセンターベントやサイドベンツはもちろん、ノーベントも対応可能です。
裏地は総裏も背抜きも選ぶことができます。
ちなみにオプションとしてよく挙がる本切羽、キュプラ裏地、本水牛ボタンなどは水落氏からすれば最低基準とのことで、すべて無料で標準仕様となっています。
言うまでもありませんが、すべて総毛芯で襟も一枚襟となっていました。
Zerbinoもそうですが、やはり良いお店はポリシーとしている最低基準が他店より遥かに高いです。
またチェンジポケットにしたい場合も、当然アップチャージなく対応頂けます。
スリーピースにする場合には、ハウススタイルオーダーでは¥35,000~、ビスポークでは¥8,000~ベストが作れるようです。
納期についてはハウススタイルオーダーで4週間~、ビスポークについては10ヵ月程度になるようです。
「俺評価。」は?
ただし、これは価格的に多くの方にとってハードルが高い事が理由。着心地に関しては「高」の中でも最上です。間違いなくメイド・トゥ・メジャー(イージーオーダー)では最高峰の仕上がりになるでしょう。
他テーラーと比べ、固めの肩パッド等をしっかり入れた状態でも、全く気にならない、というか大半のテーラーのものよりもはるかに柔らかく感じる着心地になるはず。
評価方法の詳細については9割の人はテーラー選択ミス?「俺評価。」はじめましたをご覧ください!
南青山の閑静な住宅街に佇むDittos
Dittosはオーダースーツ初心者ではまず間違いなく発見すらしないであう南青山の閑静な住宅街にお店を構えています。
所在地:〒107-0062東京都港区南青山4-14-2グランポート南青山2F
・・・さて、ここまでご紹介で、オーダーできる内容やその圧倒的な実力だけでなく、店舗の場所も分かったと思います。
とはいえ、いざ実店舗に足を運ぶとなんか違うと思っても「やっぱり止めた」とは言いづらいですよね。
まずはWeb上でちゃんと比較した方が良いと思い、体型の悩みをバッチリ補正!東京のイージーオーダースーツ店まとめに整理しておきました!
しっかり他店舗とも比較してから足を運べば、迷いも少なくなります。
オーダーに向けた事前準備
こちらはオプショナルですが、一流のビジネスパーソンとして、適切にスーツを着こなすための情報を以下にまとめましたので、ぜひご覧ください!
そもそも論理的に一流のスーツスタイルとは・・・
え、まだセンスに頼ってるの?論理で再現できるスーツの着こなし
身体に合ったスーツとは・・・
あなたはなぜ残念なスーツを購入してしまうのか?一流を作るスーツとは
差がつくポイントは・・・
なぜあの人はカッコいいのか?差がつくスーツ・ジャケットのポイント
生地を選ぶ際のポイントや特徴は・・・
素材・柄からイギリス・イタリア生地まで!スーツ生地の特徴と違い
パンツの裾上げの対処法は・・・
知らないのに結局聞かれる…パンツの仕上げの種類と対処法
販売員と上手くやり取りを行う方法は・・・
うんちく不要!販売員の知識を「運用」したスーツ購入法とは?
スーツの着こなす上で最低限押さえるべきことは・・・
意外と知らない?スーツを着る上での基本
Dittosでオーダーする場合、価格はやはり結構なものになりますが、
水落氏が引くことによる型紙のレベルの高さ、そしてご本人が縫製工場を指導してまでこだわり、型紙に応える縫製レベルの高さを兼ね備え、他店を寄せ付けないクオリティなのは間違いないでしょう。
イージーオーダー系のテーラーのご紹介記事もここに極まれり!といった感じですが、今後も、実際に私が袖を通した結果や、仕立てた結果、そして店員と話した経験などを、感覚論に終始せず論理と組み合わせて整理していきますので、少しでも興味を持っていただけたら、是非Feedlyの登録やTwitterのフォロー、noteの応援を宜しくお願いします!