5万円台スーツが強い!仕様と価格から見たSato Tailorオーダースーツ考察


(出典:http://www.satotailor.com/shop/)
5万円台のオススメスーツとして推されることも多いSato Tailorが満を持して登場です!

個人的には、四ツ谷店に伺った際にものすごく粗雑な接客で不快な思いをしたこともあり、敬遠していたところがあったのですが、仕立てるスーツ自体には興味があったんですよね。

そんなわけで代々木店に伺いましたが、接客も気持ちよく、スーツについてもやはりこだわりの部分が随所に見られたのでご紹介したいと思います!

目次

オーダーの分類は「パターンオーダー」


Sato Tailorは、マシンメイドで、既定の型紙の縦幅調整のみが基本となる「パターンオーダー」を採用しています。

CADというツールにベースとなる型紙をいれておき、縦幅・横幅や体型補正も行い型紙を起こすイージーオーダーや、イチから型紙を起こすフルオーダーと比べると、調整できる範囲が制限されることが多く、自分専用感は薄れます。

しかしですね、イージーオーダーでも「体型補正ができる」と謳っているものの、ベース型紙からの調整幅が少ないテーラーが多いのも実態でして、パターンオーダーだから、イージーオーダーよりもダメというのは明らかな間違いです。

いろいろと語りましたが、パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーの違いや詳細が気になる方は、仮縫いの有無は無関係!もう騙されないパターン/イージー/フルオーダーの分類にまとめましたので、是非ご覧ください。

Sato Tailorのハウスモデルと仕様


(出典:http://www.satotailor.com/pattern-order/)
Sato Tailorではミラノ、ジェノバ、ナポリと大きく3つのハウスモデルを取り扱っています。

特徴としてはジェノバが最もゆったりしています。(とはいえ結構しぼりも効いていますし、カマの位置も高いので、ダボっと感じることはまずないと思います)

ミラノについてはフロントのボタン位置が低く、Vゾーンが広めになっています。

ナポリモデルについては肩に丸みがあり、アンコン仕様になっています。

いずれの場合も総毛芯で仕立てられていますが、襟についてはミラノとジェノバが一枚襟、ナポリは二枚襟で仕立てられていました、

襟は入念なアイロンワークを施した一枚襟の方が首への吸い付きが良く、ジャケット重みが上手く分散されるため、肩への負荷が小さく軽く感じます。

二枚襟だと入念なアイロンワークを省いても立体感を出すことができるのですが、手間暇を省いた分、首への吸い付きは甘くなり、結果的に重く感じやすくなる嫌いがあります。

この辺りを詳しく知りたい方はオーダーを100倍楽しむ!王様の仕立て屋に学ぶ本場のナポリ仕立てでもご紹介していますので、どうぞ!

Sati Tailorで選べる生地と価格


(出典:http://www.satotailor.com/)
生地についてはバンチブックベースで選ぶことが可能です。

バンチブックで生地を選ぶ場合、反物で店舗が在庫を抱えている場合よりも高くつくことが多いのですが、Sato Tailorではバンチブックからでも5万円台で有名インポート生地を選ぶことができます。

バンチブックだとどうしても見本の生地面積が小さいため、仕上がりがイメージしづらくなりますが、ネイビーやグレーの無地などを選べば心配ないでしょう。

Sato Tailorで取り扱いのある生地を一部ご紹介しますね。

  • ABITO ¥50,000
  • DORAGO ¥55,000
  • Tollegno ¥50,000~60,000
  • REDA ¥50,000~60,000
  • CANONICO ¥55,000~75,000
  • SUBALPINO ¥65,000
  • DUGDALE BROS ¥70,000
  • Talia di Delfino ¥75,000
  • REDA MAIOR ¥75,000
  • CANONICO 6PLY ¥80,000
  • William Halstead ¥80,000
  • DORMEUIL ¥85,000
  • Caccioppoli ¥100,000

さらに高い生地もありますがSato Tailorといえば5万円で良質なオーダースーツが仕立てられることで有名なテーラーですので、これらの生地は特筆すべきでしょう。

ちなみにこれらの生地は手裁断で仕立てられますので、機械裁断と比べて丸みを持たせることができます。

Sato Tailorのカスタマイズ概要

カスタマイズ概要についてですが、基本的にオプション料金はかからない認識で問題ありません。

袖ボタンは並びつけ、重ねつけのどちらも選ぶことができ、本切迫も標準仕様となります。

ポケットはノーマル、スラント、パッチポケットはもちほん、チェンジポケットも無料で対応頂けます。

ベントはセンターベントやサイドベンツはもちろん、ノーベントも対応可能です。

裏地は総裏も背抜きも選ぶことができます。

裏地の素材はキュプラが、ボタンについても本水牛が標準となり、オプション料金は特にかかりません。

スリーピースにする場合は生地価格の30%でベストを仕立てることが可能です。

納期は3週間〜となるようです。

Sato Tailorの仕様

オーダースーツはサイジング命で、見た目的にはサイズが合っていればカッコよくは見えます。

が、着ている本人の着心地はサイズとは別に、スーツの仕立てられ方、仕様に影響を受けます。具体的には襟と袖の仕様がスーツの着心地を左右します。

襟はしっかりとアイロンワークを施して生地を首の形合わせて捻じ曲げることで、ジャケットを着た際の体圧を分散し、疲れにくく仕立てた「一枚襟」と、そういった作業をスキップして簡易的に立体感を作り出す「二枚襟」という仕様があります。

Sato Tailorではミラノモデルとジェノバモデルで一枚襟、ナポリモデルで二枚襟を採用しています。

袖については、肩の付き方やいせ量などが重要。前身頃に対して後身頃側の生地を多めに使い、それらをいせ込んで縫い合わせることで、可動域を担保しているわけですが、見るより着てみるのが一番。

しっかりした仕立てのジャケットを着たことがある方が着れば分かると思いますが、Sato Tailorの仕立てレベルは標準よりやや上程度で、袖の可動域の部分で嬉しい驚きを感じることはありません。

「サイズさえ合っていれば着心地も完璧!」のようなまやかしが、比較的お手頃なオーダースーツ業界にありますが、別にそういうわけではないよ・・・ということで、その仕組みを解説したのが「身体に合う」の嘘。フルオーダー信仰が崩壊し、既製品最強が生まれる理由です。ぜひ一度ご覧ください。

「俺評価。」は?


ずばり、「イチオシ」~「良し」としました。

Sato Tailorではハウスモデル間で襟の仕様に違いがありますが、さして影響があるレベルではありません。決して悪い物を作っているわけではなく、むしろ一般的なテーラーよりは高水準のスーツを仕上げてくださるでしょう。しかし、いずれのモデルについても着心地は「中」。

価格に応じてオススメ度合いが異なってきます。

評価方法の詳細については9割の人はテーラー選択ミス?「俺評価。」はじめましたをご覧ください!

オーダー初心者向けに嬉しいことに、登竜門とも言えるブランドCANONICOとREDAが5万円台ですので、その場合にはオススメできます。

が、その他の生地ブランドの場合、Mezzoforte Lounge(メゾフォルテ ラウンジ)でも紹介している通り、一部ですが、同様の価格でより優れたテーラーは確実に存在します。レベルの高いテーラーの無い地域は別として、少なくとも東京在住の友人には積極的にオススメしないでしょう。

ただし、後述する通り、長野にも店舗がありますので、東京には足を運べないものの、長野にならアクセスしやすい!という場合には、悪い選択肢ではないかと思います。

余計なオプションが乗ることもないので、想定以上の価格になってしまったという事態も起こらないでしょう。(気分がノッてきて高級生地を選んでしまったりしたら、それは・・笑)

都市部に店を構えるSato Tailor

Sato Tailorは東京を中心に、一都三県+一部地方で店舗を構えています。具体的には、銀座店 / 赤坂店 / 四ッ谷店 / 恵比寿店 / 代々木店 / 横浜馬車道店 / 本宮店 / 長野店があります。

・・・さて、ここまでご紹介してきたので、オーダーできる内容も、店舗の場所も分かったと思います。

とはいえ、いざ実店舗に足を運ぶとなんか違うと思っても「やっぱり止めた」とは言いづらいですよね。

まずはWeb上でちゃんと比較した方が良いと思い、あれ、知らなかった!?東京でパターンオーダーできるお店まとめに整理しておきました!

しっかり他店舗とも比較してから足を運べば、迷いも少なくなります。

オーダーに向けた事前準備

こちらはオプショナルですが、一流のビジネスパーソンとして、適切にスーツを着こなすための情報を以下にまとめましたので、ぜひご覧ください!

そもそも論理的に一流のスーツスタイルとは・・・
え、まだセンスに頼ってるの?論理で再現できるスーツの着こなし

身体に合ったスーツとは・・・
あなたはなぜ残念なスーツを購入してしまうのか?一流を作るスーツとは

差がつくポイントは・・・
なぜあの人はカッコいいのか?差がつくスーツ・ジャケットのポイント

生地を選ぶ際のポイントや特徴は・・・
素材・柄からイギリス・イタリア生地まで!スーツ生地の特徴と違い

パンツの裾上げの対処法は・・・
知らないのに結局聞かれる…パンツの仕上げの種類と対処法

販売員と上手くやり取りを行う方法は・・・
うんちく不要!販売員の知識を「運用」したスーツ購入法とは?

スーツの着こなす上で最低限押さえるべきことは・・・
意外と知らない?スーツを着る上での基本

今回触れませんでしたが、個人的には宮城興業のオーダーシューズのスタートプライスが、同じく宮城興業と提携しているゼルビーノでオーダーする場合よりも多少安いことが気になりました!もちろん、フィッターの実力も多分に関わってくるところですし、単純に価格だけで決めないのですが。

今後も、実際に私が袖を通した結果や、仕立てた結果、そして店員と話した経験などを、感覚論に終始せず論理と組み合わせて整理していきますので、少しでも興味を持っていただけたら、是非Feedlyの登録Twitterのフォローnoteの応援を宜しくお願いします!