(出典:http://kentave.jp/)
スーツと言えば、イギリスやイタリア?いやいや、アメリカにも伝統的なスタイルが存在します。
実際、日本でも1960年代にアメリカントラッド(アメトラ)が大流行しており、ブランドでいえばVAN等がもてはやされました。
現代においても特定の年齢層を中心にアメリカントラッドの人気は根強く、型紙を用意しているテーラーも少なくありません。
ただし、フロントダーツを排した寸胴のいわゆるボックスシルエットだと、若い層にあまりウケがよくないということもあり、ウエストに絞りをいれているスタイルも間々あります。(歴史を紐解くとアメリカ本国でもウエストを絞っていることもあり、アメトラの定義の明確化は難しいのですが、一般的にアメトラというとボックスシルエットを指すことが多いです)
そんな中、「これぞ」というボックスシルエットを展開しているのが、ブルックスやJプレスなのですが、正直結構いいお値段します(笑)
あまりお金をかけ過ぎたくない!けどモダナイズし過ぎてないアメリカントラッドにこだわりたい!そんな方にオススメなのが、今回ご紹介するKent Aveのスーツです。
目次
オーダーの分類は「パターンオーダー」
Kent Aveはマシンメイドで、既定の型紙の縦幅調整のみが基本となる「パターンオーダー」を採用しています。
CADというツールにベースとなる型紙をいれておき、縦幅・横幅や体型補正も行い型紙を起こすイージーオーダーや、イチから型紙を起こすフルオーダーと比べると、調整できる範囲が制限されることが多く、自分専用感は薄れます。
しかしですね、イージーオーダーでも「体型補正ができる」と謳っているものの、ベース型紙からの調整幅が少ないテーラーが多いのも実態でして、パターンオーダーだから、イージーオーダーよりもダメというのは明らかな間違いです。
また、アメトラのシルエットがボックス型ということも手伝って、肩と胸囲が合えば、腰は(極端な話)気にしなくても、ストンと真っ直ぐに落ちたシルエットになります。
いろいろと語りましたが、パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーの違いや詳細が気になる方は、仮縫いの有無は無関係!もう騙されないパターン/イージー/フルオーダーの分類にまとめましたので、是非ご覧ください。
大きく2種類から選べるハウスモデル
Kent Aveのハウスモデルについてですが、大きく分けるとボックスシルエットのアメトラモデルと、ブリティッシュテイストでウエストに絞りのあるモデルの2種類です。
せっかくKent Aveで仕立てるのであれば、アメトラ一択でしょう!
逆にブリティッシュのモデルにするのであれば、正直他のお店でもよいのでは?と思います。
選べる生地と価格
生地はバンチブックから選ぶ形になります。
価格別に大きく5ランクに分かれており、スタートプライスはランク1の¥39,000で、一番高いランク5の生地でも¥69,000ですので、比較的お手頃なものが中心になります。
ちなみにREDAやCANONICOあたりは、ランク5にあたるようです。
標準仕様とカスタマイズ概要
(出典:kentave.jp/pattern-order)
Kent Aveでのカスタマイズ概要についてです。
袖ボタンは並びつけが標準で、重ねつけは+¥1,000、本切羽は+¥2,000で対応頂けます。
ポケットはノーマルな水平フラップポケットが標準で、スラントポケット、パッチポケット、チェンジポケットは +¥1,000で対応頂けます。
ベントはセンターベント、サイドベンツが標準で選べ、アメトラの代名詞でもあるフックベントにする場合は、+¥1,800になります。
裏地は総裏、背抜きどちらも選択でき、裏地の素材としてはポリエステルが標準になります。キュプラにする場合は+¥1,000~4,000とのことです。
スリーピースにする場合は、前述の生地のランクによって価格が異なり、
ランク1〜2は¥14,000
ランク3〜4は¥20,000
ランク5は¥37,000
となっています。
納期は、3週間程度とのことです。
Kent Aveの仕様
オーダースーツはサイジング命で、見た目的にはサイズが合っていればカッコよくは見えます。
が、着ている本人の着心地はサイズとは別に、スーツの仕立てられ方、仕様に影響を受けます。具体的には襟と袖の仕様がスーツの着心地を左右します。
襟はしっかりとアイロンワークを施して生地を首の形合わせて捻じ曲げることで、ジャケットを着た際の体圧を分散し、疲れにくく仕立てた「一枚襟」と、そういった作業をスキップして簡易的に立体感を作り出す「二枚襟」という仕様があります。
Kent Aveでは二枚襟を採用しているので、首への吸い付きのレベルは高くはありません。やはり価格的にここまでは期待できませんね。
袖については、肩の付き方やいせ量などが重要。前身頃に対して後身頃側の生地を多めに使い、それらをいせ込んで縫い合わせることで、可動域を担保しているわけですが、見るより着てみるのが一番。
しっかりした仕立てのジャケットを着たことがある方が着れば分かると思いますが、Kent Aveの仕立てレベルは標準程度で、袖の可動域の部分で嬉しい驚きを感じることはありません。
一方、副資材については、基本的に毛芯が使用されているそうです。
また、生地ランクが高くなるとお台場仕立てなども標準仕様になるとのことでした。
「俺評価。」は?
Kent Aveはハウスモデル間での仕様に変化がないので、すべて同様の評価です。
評価方法の詳細については9割の人はテーラー選択ミス?「俺評価。」はじめましたをご覧ください!
一部ですが、同様の価格でより優れたテーラーは確実に存在しますし、Mezzoforte Lounge(メゾフォルテ ラウンジ)でも紹介しています。
とはいえKent Aveも決して悪い物を作っているわけではなく、一般的な水準のスーツが仕上がりますので、普段既製スーツを購入している層からすれば不満を持つレベルではないでしょう。
また、ドカンのようなシルエットのコテコテのアメトラが欲しい!という方には、Kent Aveはドハマりする可能性があります。
ただし、アメトラのシルエット好きでも、予算として15万程度用意できるのであれば、batak(バタク)の方が遥かにオススメできます。
そのため結論、「安価にアメトラを体感したい方向けのテーラー」だと思います。
既製品も展開
今回ご紹介したのは、パターンオーダーですが、店内には既製品も販売されています。(というより既製品の方がメインのようです。)
既製品はA4体が一番小さいサイズで、私のように背がなく、横幅もそこまでないタイプだとYA体はないので、ご注意を。
ちなみに2019SSまでは、既製品とパターンオーダーで違う工場を利用しており、ボタン位置の高さなど型紙に違いがあります。(具体的にはパターンオーダーの方がボタン位置が低く、既製品の方が高くなっています。)
2019AWからはパターンオーダーについても従来の既製品と同様の工事を利用するそうなので、今後はすべてボタン位置が高くなります。
また工事の変更に伴い、価格にも変化がある可能性もある点にはご留意ください。
全国に展開するKent Ave
Kent Aveは、北海道を中心に全国に5店舗展開しています。
Kent Ave 札幌オーロラタウン店
北海道札幌市中央区大通西3-4-1 地下街オーロラタウン
Kent Ave 札幌ファクトリー店
北海道札幌市中央区北二条東4丁目 札幌ファクトリー二条館
Kent Ave 大手町店
東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル1F
Kent Ave 横浜元町店
神奈川県横浜市中区元町4-175
Kent Ave 熊本ゆめタウン店
熊本県熊本市南区田井島1-2-1 ゆめタウンはません店2F
上記の他にアウトレットも4店舗運営していますので、詳しくは公式サイトをご覧ください。
オーダーに向けた事前準備
こちらはオプショナルですが、一流のビジネスパーソンとして、適切にスーツを着こなすための情報を以下にまとめましたので、ぜひご覧ください!
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今後も、実際に私が袖を通した結果や、仕立てた結果、そして店員と話した経験などを、感覚論に終始せず論理と組み合わせて整理していきます。
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