「本物」のゼニアを再現とは?銀座SAKAEYAでのオーダースーツの仕様と考察


(出典:http://www.zds.cc/)
ゼニアのオーダースーツで検索すれば、上位に出てくる銀座SAKAEYA。日本でも有数のゼニア生地のラインナップが特徴です。

一方、他テーラーからフルオーダーの定義で懐疑的な目を向けられることも多いのも事実。私自身がオーダー経験もあるので、オーダーの分類や価格、仕様について解説したいと思います。

【参考】【レビュー】直営を再現!銀座SAKAEYAでゼニアのスーツをオーダーしてみた感想

目次

スーツのオーダーの分類は「イージーオーダー」


マシンメイドかハンドメイドかは、価格によって異なるものの、基本的にはCADに登録されたベースとなる型紙から縦・横幅調整し、あなた用の型紙を作成する「イージーオーダー」です。最もセンシティブな所にいきなり切り込みましたね(笑)

メジャーメイドで実施しているゼニア社のオーダースーツの型紙9パターンを、28パターンにまで細分化しているとのことなので、対応パターンの増えたメジャーメイドです。オーダーした当時私の理解が至らなかったため、フルオーダーと誤認しておりましたが、ビスポークテーラーやその他のメジャーメイドの方へのヒアリングを通して、考え直しました。

もちろん、なで肩や猫背などの方向けの体型補正も行われますし、仮縫いも加えることも可能です。(が、仮縫いがあるからといって、それはフルオーダーにはあたりません。)

パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーの違いや詳細が気になる方は、仮縫いの有無は無関係!もう騙されないパターン/イージー/フルオーダーの分類にまとめましたので、是非ご覧ください。

銀座SAKAEYAの価格構成とモデル

銀座SAKAEYAではモデル+生地+縫製方法+オプションで価格が決まります。

モデルについては、ゼニアで3種類、ダンヒルで1種類、ドーメルで1種類。どのモデルを選ぶかによって仕立て上がりの価格が異なることに注意しましょう。

  • ゼニア モダンイタリアモデル(旧ミラノライン):¥28,000
  • ゼニア ナポリクラシックモデル(旧フィレンツェライン):¥35,000
  • ゼニア ネオブリティッシュモデル(旧トリノライン):¥35,000
  • ドーメル ロイヤルエドワードラインモデル:¥28,000
  • ダンヒル セントジェームスラインモデル:¥15,000

銀座SAKAEYAで選べる生地と価格

それでは生地についてです。生地は反物ベースで選ぶことができ、当然ですが生地に応じて値段が異なります。

  • ゼニア エレクタ ¥80,000
  • ゼニア トロピカル ¥80,000
  • ゼニア トラベラー ¥80,000
  • ゼニア クールエフェクト ¥80,000
  • ゼニア ハイパフォーマンス ¥110,000
  • ゼニア ヘリテージ ¥110,000
  • ゼニア トロフェオ ¥110,000
  • ゼニア 15Milmil ¥180,000
  • ゼニア 14Milmil ¥250,000
  • ゼニア 13Milmil ¥330,000
  • ダンヒル super120 ¥100,000
  • ダンヒル super100 ¥120,000
  • ドーメル TROPICAL AMADEUS ¥100,000
  • ドーメル Iconik.fancy nano ¥120,000
  • ドーメル EXEL ¥120,000

高級生地ブランドをメインで取り扱っているので、当然価格は高めにはなります。百貨店だとさらにとんでもない価格になるので、百貨店よりは良心的な価格設定です。

銀座SAKAEYAの縫製方法とオプション

生地は前述の通りの価格で、縫製方法による価格は以下の通り。

(出典:http://www.zds.cc/price.html)

  • マシンオーダー ¥0
  • 仮縫いマシンオーダー ¥15,000
  • 仮縫いカスタムオーダー ¥50,000
  • ロイヤルオーダー ¥150,000
  • お店としては仮縫いマシンオーダーか、仮縫いカスタムオーダーがオススメとのことです。繰り返しになりますが、仮縫いの有無だけではフルオーダーの定義に影響しません。

    最後にオプションについては、

  • デラックス仕立て +¥10,000
  • ステッチ +¥3,000
  • 本切羽 +¥3,000
  • チェンジポケット +¥2,000
  • ボタンホール糸色変更 +¥2,000
  • ブランド裏地 +¥15,000
  • シロセット加工 +¥1,500
  • ダブル仕立て 生地価格の10%
  • ベスト 生地価格の20%
  • スペア スラックス 生地価格の40%
  • 身長180cm以上で、ウエスト95cm以上orバスト110cm以上 +¥15,000
  • 身長180cm以上で、ウエスト95cm未満orバスト110cm未満 +¥5,000
  • 身長180cm未満で、ウエスト95cm以上orバスト110cm以上 +¥10,000
  • となっています。

    納期は仮縫いまで2週間、仕上がりまで4週間程度です。

    銀座SAKEYAの仕様

    型紙についてゼニア社の物を再現しているから、生地に最も適したスーツが出来上がるというのが銀座SAKAEYAの触れ込みですが、どうでしょう。

    オーダースーツはサイジング命で、見た目的にはサイズが合っていればある程度カッコよくは見えます。しかし、着ている本人の着心地はサイズとは別に、スーツの仕立てられ方、仕様に影響を受けるんです。

    たとえば襟はしっかりとアイロンワークを施して生地を首の形合わせて捻じ曲げることで、ジャケットを着た際の体圧を分散し、疲れにくく仕立てた「一枚襟」と、そういった作業をスキップして簡易的に立体感を作り出す「二枚襟」という仕様があります。

    銀座SAKEYAでは少なくともマシンオーダーでは二枚襟を採用しており、首への吸い付きのレベルは高くはありません。仮縫いを入れても襟が首から離れる(襟が抜けるという状態)に仕上がってしまい、フルオーダーと自称するのに疑問が強く残る点でもあります。

    本来人の身体に真に合わせたスーツを作成するためには、ビスポークで何の制約もなく手縫いを前提とした難易度の高い型紙を引き、クセどり等のアイロンワークで着る人間の身体に合わせて生地を捻じ曲げる技術が重要になります。

    一方、銀座SAKAEYAではマシンオーダーでもゼニア社を再現した型紙を利用できます。この場合、型紙はビスポークより簡略化されるわけです。ゼニア社自体の型紙のレベルは存じ上げませんが、これで本当にゼニアの生地を活かしきれていると言えるのでしょうか?答えは明確にNOです。

    ハンドメイドについては、マスターテーラー世界大会に出場の実力ということなので、もしかするとハンドメイドにすると抜群に良くなる可能性も否めません。が、このマスターテーラー世界大会、英語で調べてみても出場テーラーに海外名門所は見当たらず、世界最高峰の大会かというと疑問が残ります。

    【参考】「身体に合う」の嘘。フルオーダー信仰が崩壊し、既製品最強が生まれる理由

    「俺評価。」は?


    マシンオーダーおよび仮縫い付マシンオーダーのみ「俺評価。」 を実施。ハンドメイドについては、オーダーしておらず、試着もできないため、適当なことを書くべきではないと判断し、評価は実施しないことにしました。

    評価方法の詳細については9割の人はテーラー選択ミス?「俺評価。」はじめましたをご覧ください!

    肝心のマシンオーダーおよび仮縫い付マシンオーダーの評価ですが、「良し」~「不要」としました。もちろん幅を設けたのには理由があります。

    私がオーダーしたのは、芯材が極力抜かれたモデルであった上に生地もトロフェオ。芯材が抜かれていることで、前肩に負荷を与えない設計なのかを素人目には見抜きづらく、物理的にも軽く。そしてトロフェオだと生地が良すぎるため、仕立てのレベルに関係なく、軽さと柔らかさがある程度出てしまいます。

    このように芯材を極力抜き、トロフェオのようなテロテロ生地にすれば着心地は「中」として問題ないと思いますが、ビジネス利用では柔らかくとも毛芯はいれたいところ。さらにドーメル等のもう少し打ち込みのしっかりした生地を選んだ時にも同じような着心地を実現できる保証はありません。

    まぁ結局トロフェオで20万超かけて着心地が中なので、私がオーダーした内容に関する評価でいえば「不要」ですし、今の私であればもしトロフェオを利用するのであれば、もっとその良さを生かせる仕立ての技術の高く、価格も抑えられたテーラーにお願いするでしょう。一部ですが、同様の価格でより優れたテーラーは確実に存在しますし、Mezzoforte Lounge(メゾフォルテ ラウンジ)でも紹介しています。

    銀座SAKAEYAも決して悪い物を作っているわけではなく、一般的な水準のスーツを仕立ててくれます。ゼニアの生地の豊富さは本物だと思いますので、ゼニアがどうしても気になるという方にはオススメします。しかし、本当にゼニアにこだわることに意味があるかには、注意しましょう。

    【参考】あなたにゼニアは不要です。本当にいい生地の考察と選択ガイド

    東京の一等地のみに店舗を構える銀座SAKAEYA


    (出典:https://www.zds.cc/)
    銀座SAKAEYAは銀座、東京駅前、新宿のみに店舗を構えており、新宿店では同一店舗内に新ブランドのブルベロも有しています。

    ロイヤルカスタマー向けには出張サービスも!

    銀座SAKAEYAでは、遠方でどうしてもお店に行くことができない方向けに、スタッフが訪問し、採寸・仮縫いを行うサービスも実施しています!

    もちろん条件はしっかりあって

    • 注文金額が50万以上であること
    • 日本国内であること

    の2点です。

    50万以上という条件を聞いて「ロイヤルカスタマー」の意味がよくわかりました・・・(笑)地方にお住まいでお金に余裕のある方はお試しいただいても良いかもしれません。

    お問い合わせ先は、銀座SAKEYA銀座店へのお電話となるようです。公式サイトから確認の上、ご連絡ください。

    オーダーに向けた事前準備

    こちらはオプショナルですが、一流のビジネスパーソンとして、適切にスーツを着こなすための情報を以下にまとめましたので、ぜひご覧ください!

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